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分離動詞とは、ドイツ語に特有の動詞の一つです。これは、文字通り一つの動詞が二つに分離してしまう動詞です。英語などに慣れていますと、動詞が二カ所に分離するとは何事か、と全く不可解に思われるかもしれません。確かに、動詞が分離することで得られるメリットはあまりないように感じるかもしれませんが、そこはドイツ語の一つの持ち味のようなものです。例えば、初心者のうちは、分離動詞などという面倒なものがなければどんなにいいかと思いますが、ドイツ語がある程度分かるようになってくると、もし分離動詞がなくなってしまうとそれはそれで寂しいなと思えてくるから不思議です。
文法的な決まり事から言えば、分離動詞はきわめて簡単で覚えるルールもほとんどありません。一番難しいのは、そのような変な動詞が存在するんだということを納得することぐらいです。
では、分離動詞とはどのようなものかといいますと、これは日本語に相当するような概念がないので、主にドイツ語で説明したいと思います。例えば次のような文があるとします。
Er sieht einen Turm.
日本語ですと、「彼はある塔を見る」ぐらいの意味です。ドイツ語の語順ですと、「彼は、見る、ある塔を」という順番です。
分離動詞を使った文は、例えば
Er sieht freundlich aus.
意味は、「彼は親切そうに見える」という意味で、ドイツ語の語順ですと、「彼は、のように見える、親切な」という語順です。そうすると、ドイツ語の最後にあるaus というものに対応する日本語がないですね。それもそのはずで、このausが、分離動詞の前綴りと呼ばれるもので、2番目の動詞の一部なのです。
つまり2番目の動詞であるsiehtの原型はsehenです。(sehenは不規則動詞です。)しかし、この場合の動詞の原型はaussehenという動詞なのです。このaussehenという動詞の前綴りのausという部分が文の最後に置かれ、残りのsehenは普通の動詞のように2番目に置かれて使われています。これが分離動詞と呼ばれるものです。動詞の意味はあくまでaussehenで考える必要があり、単なるsehenという動詞とは全く別物です。(ただし、多くの場合は本体部分の動詞とは意味的に深い関係があります。)ですから、上の文を理解する場合は、最後の「aus」まで読まないときちんと理解できません。
このように書くと難しく聞こえるかもしれませんが、要するに分離動詞は本体部分と前綴り部分に分けて、本体部分は普通の動詞として2番目に、前綴り部分は文の最後に置く、それだけのことです。先ほどの文をもう一度書きますと、Er sieht freundlich aus.という文です。sieht(sehenの3人称単数形)という本体部分の動詞と文末のausという分離する前綴り部分が見て取れます。重要なことはこの動詞の原形はaussehenであることです。その形でないと辞書を正確に引くことはできないので、注意する必要があります。つまり、Er sieht freundlich aus.という文の動詞が分からなくて辞書を引く場合は、sehenで引いたら100%間違いになります。aussehenという動詞を引かなければならないのです。そうやって、辞書を見て初めてこの動詞が「〜のように見える」という意味だと分かるのです。
また、辞書を引いたときに分離動詞は必ず縦の線によって区切られて書かれています。例えばaussehenは辞書を引くと必ず「aus|sehen」と表記されているはずです。ですから、辞書を動詞を引いたときにそのように縦線で区切って書いてあれば必ず分離動詞ですので、気をつける必要があります。
また、分離動詞は過去分詞のときにも少しだけ注意する必要があります。普通の動詞の過去分詞は、規則動詞の場合は動詞の語幹の部分がgeとtではさんで作ることができました。例えば、「住む」というwohnenという動詞は、enを省いた語幹の部分のwohnをgeとtではさんで、gewohntという形になります。不規則動詞の場合はだいたいははじめにgeがつくぐらいは一緒ですが、あとは不規則な変化をしますので、その都度覚える必要があります。
では、分離動詞のときにどうなるのかといいますと、この場合は分離する前綴りの後ろにgeがつきます。つまり、分離動詞の本体部分だけをまずは過去分詞にして、最後に分離する前綴りを頭につけるわけです。例えば、上で挙げたaussehenという動詞の本体部分はsehenで、この動詞の過去分詞は不規則動詞ですのでgesehenという形です。これにausという前綴りをつけてausgesehenとなります。このように、分離動詞の過去分詞の作り方には、ちょっと気をつけなければなりません。
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