石綿(アスベスト)は、柔軟性、引っ張り強度、音響遮断性、耐腐食性、耐熱性、絶縁性等に
優れた特性があり、”夢の建材”と言われてきました。この優れた特性をもつ石綿は、断熱材、
耐火材、セメント添加材(アスベストセメント管、外壁材等)、塗料など広く使用されてきました。
1970年〜1990年にかけて、年間約30万トンという大量の石綿が輸入され、
その約8割が建材に使われていたと言われています。
石綿にさらされる(ばく露)業務による職業がん労災認定者数を見ると、
2003年で121人で職業がん全体の認定者数141人の86%占めていて、1998年の3倍になっています。
細長い形の天然鉱物繊維で6つの種類があります。この6種類のうち、建築材料として使用された石綿は、
・蛇紋石系 = クリソタイル(白、温石綿)
・角閃石系 = アモサイト(茶石綿)
・角閃石系 = クロシドライト(青石綿)
です。
他の3種類の石綿には、角閃石系のトレモライト、アクチノライト、アンソフィライトがありますが、
建築材料等にはほとんど使用されていません。
鉱物
繊維状にしたもの
石綿は、
・燃えない
・混ざりやすい
・引張り強い
・電気を通しにくい
・摩耗しにくい
・薬品に強い
上記のような特性により、空気中に微細な石綿が放出されると、
消滅することなく長時間、空気中に浮遊します。
空気中に浮遊する、又は浮遊しやすい堆積した石綿の粒子を石綿粉じんといいます。
石綿の直径は、0.01〜0.1μmで、1mmの10万分の1から1万分の1で目に見える物ではありません。
通常は1本がたくさんくっついていて束の状態になっています。
束の状態が目に見える大きさのときには特に問題はありませんが、 石綿そのものを解きほぐしたり、
石綿を含む製品を切ったり、削ったりするなど 束になった状態がほぐれて細くなり、
肉眼で見えない大きさになり、空気中に浮遊しはじめます。
屋根:カラーベスト 外壁:サイディング 天井:吸音板 鉄骨:耐火被覆
他にも、防音材、断熱材、保温材、吸湿材等にも使用されていることが多いです。
石綿粉じんを吸入する事により、石綿肺、肺がん、中皮種等の疾病の危険性が
高まる事は知られています。
石綿粉じんを少量吸入しても発症する可能性があり、
石綿粉じんばく露から発症までの期間がそうとうながいこともあります。
・石綿肺
石綿肺は長期間、多量に石綿粉じんを吸入することによって生じる
じん肺の一種で、アスベスト肺とも呼ばれています。
石綿肺は肺が繊維化するもので、せき等の症状を認め、
重症化すると肺機能が低下する事があります。
・肺がん
石綿粉じんの吸入量が増えるほど肺がんに罹患する危険性が増加します。
特に石綿肺に罹患した人は肺がんに罹患知る危険性が高いと言われています。
石綿取扱者のうち喫煙者は、非喫煙者に比べて
肺がんに罹患する危険性が高いと言われています。
・中皮腫
肺を覆っている膜(胸膜、腹膜)や、心臓を覆っている膜(心膜)等に発生する悪性の腫瘍で、
非常にめずらしい疾病です。
石綿の種類のうち、クロシドライトが中皮種に最も関与し、
ついでアモサイト等の角閃石系石綿であると言われています。
クリソタイルはアモサイト等に比べて、その危険性は少ないと言われています。