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06/07/28 World (cultural,natural) heritage
 知床がWorld natural heritage (世界遺産)に登録されて1年が過ぎました。世界遺産とは優れた地形、地質、生態系、景観を持つ地域を登録し、定期的な監視や基金を通じて保護することを目的としています。知床はエゾシカやヒグマなど野生動物が生息し、豊かな自然がたくさん残っている素晴らしい地域です。しかしこの1年で観光客の数が急増し、自然への影響が出始めているようです。遊歩道ではない道を歩いたり、近づいてはいけない地域に侵入したり、マナーの悪い一部の観光客によって貴重な自然が壊されようとしています。特に知床岬などのある先端部では、手付かずの原始的な自然が残されているため人間の影響を受けやすく、「立ち入り自粛要請」を呼びかけ始めています。

 2003年に環境省は、自然公園に対して「利用調整地区」の制度を新設しています。もしこの制度が知床に指定されれば、入る時期や人数を制限し管理することができます。しかし未だにその制度が役所などとの折り合いがつかず実施されていません。アメリカのnational park(国立公園)では、昔からその方法を取り入れ自然を守ってきています。Park rangerまたは forest ranger(公園監視員)が常時滞在し、見回りをして警備や整備にあたっています。特にサマー・シーズンはたくさんの人が訪れるためいつもより多く動員します。私も何度かアメリカの国立公園を訪れていますが、いつも管理体制が素晴らしくとても感心しています。

 富士山が世界遺産に登録されないのはなぜか知っていますか? まずはゴミの多さ、そして悪臭のひどさ(特に登山途中にあるトイレが原因)などの理由から見送られています。このような「人害」が進まないうちに、1日も早く知床をはじめ日本の国立公園や自然公園の管理体制の見直しが必要だと感じました。そして「世界遺産登録」をされることは素晴らしいことですが、管理体制も含めたうえでの登録調査をしっかり行って欲しいと思います。なんのための「世界遺産」なのか、人間と自然の共存を改めて見直すいい機会ではないでしょうか。
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