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06/02/13  自分にできること
 だんだん日差しが暖かくなり春めいてきましたね。今年は日本でも驚異的な積雪量で、各地で多大な被害がでました。これから気温も上がり雪崩の危険性が心配です。被害といえば世界でも自然災害や戦争でたくさんの人々が犠牲になっています。

 ニュースで耳にしたことがあると思いますが、被災地や被害地でおもに支援を行っているのが「NGO」や「NPO」です。"NGO (Non Government Organization)"は非政府組織の略称で、国家間の協定によらずに民間で設立される団体で平和・人権の擁護、環境保護、援助などの分野で活動しています。"NPO(Non Profit Organization)"は非営利組織の略称で、行政・企業とは別に社会的活動をする民間組織のことをいいます。

 その中で、NGO「ピース・ウィンズ・ジャパン」で働いているある女性の記事を読んでとても心に響きました。その女性は、イラク戦争開戦直後に避難民キャンプへ支援に行きます。そこで出会ったイラク人の男性に「あなたは日本人だ。ここから逃げられるのになぜ逃げない?」と聞かれたそうです。彼女は「あなたのように飛び交う銃弾の下で苦しむ人の存在を日本の人達に伝えられる。だから怖くてもここにいる」と普段から思っていることを素直に答えました。そして二人は互いに泣いたそうです。この出来事は彼女にとって初めて支援する人に心配され、身近に感じた、絶対に忘れられないやりとりだそうです。そして3年過ごしたイラクを去り、海外の大学院で紛争解決学を学び、別の仕事をしてゆっくり過ごしました。でもそんな時彼女の頭をよぎったのは「信念のないことをするのは時間の無駄だよ」というアメリカ人の友人の言葉だそうです。そして自分の信念をもう一度問い直した結果、「人が理不尽な理由で苦しむ姿を見たくない」とそれを形にするためNGOの仕事に復帰します。
今彼女は、傷にばんそうこうを貼るような表面的な支援が続けば相手の依存心を生んでしまうと、貧困や不平等をなくすために根本にある「紛争」の解決の必要さを訴え続けています。そのために「紛争はいけない」と隣人に伝え、それをまた隣の人に理解してもらう活動を粘り強く続けていくつもりですと言っていました。

 私はこの記事を読み、無関心が人類最大の罪だと改めて強く思いました。毎日テレビや新聞でたくさんの世界の出来事を耳にします。自分の身近で起こっているわけではないので、他人事のように聞き流しているかもしれません。そして自分なんか別に何ができるわけでもないと思っているかもしれません。でも知ること=受け止めること、そしてそれを他の人に伝えていくことはできるはずです。今からはじめてみませんか。
 
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