English trivia
06/12/11  Responsibility
 日本初の英和辞書「英和対訳袖珍(しゅうちん)辞書」が出版されたのは1862年、黒船来航から9年後のことでした。開国間もない時代に3万語にもおよぶ英和辞書をつくることがどれだけ大変なことであったか想像もできません。特に当時の日本語にはない概念を和訳するのは苦労したのではないでしょうか。

 例えばresponsibilityという単語は今なら「責任」と訳すことができますが、当時は「責任」という明確な概念はなかったので、「返答すべきこと」という訳になっていたそうです。これはresponse「返答」という語源から導き出した訳と思われますが、実はもっと深い意味を持っているかもしれません。というのは、ヨーロッパで「責任」とは「神様に対して応答、返答する」という意味合いがあるという考え方があるからです。確かに神様に返答すべきことなら「責任」とは重く崇高なものだと思えてきます。そういえば、現在では「自己責任」という表現は四字熟語として使われていますが、これは2004年4月にイラクで起こった人質事件がきっかけとなったように思われます。あの事件以来「自己の責任」ではなく、「自己責任」という表現が一般的になりましたが、英語でも語頭にself(自己の)のつく単語はたくさんありますが、self-responsibilityという単語は辞書にはありません。ですから「自己責任」を英語で言うならone's own responsibilityとなります。しかし英語の発想ではown(自身の)をあえてつける必要性はほとんどないと思います。犯した過失や罪などに対しての責任はfaultといいますが、あの事件で人質となった3人に対して"It's your own fault!"(自業自得だ!)と非難した人がいました。初めは同情していた人達も大勢の流れに同調してあっという間に集団的 bashing(批判)に変わってしまう、そんな日本の陰険な社会の体質が今の bullying(いじめ)の問題に大きく関係しているのではないかと思えてなりません。
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