「兄さん、早くしないと汽車に間に合わないよ」

「あー…うん」



大きな鎧と小さな少年。

彼らの前には二件の商店。

一方のショウウィンドウにはきらきらと光るシルバーや宝石が並び、
もう一方の店内には鈍く光る灰色が所狭しと並んでいる。



「なぁ、お前はどっちがいいと思う?」

「うーん、この間はピアスあげたけどねー」

「あいつにこれ以上穴増やされたら、見てるこっちが痛くてかなわん」

「そうなんだよねー」

「多分、工具とか見繕えば確実に怒りを抑える事は可能なんだが…」

「華やかさが無いよねー」

「やはりアクセサリーか…」

「指輪とか、ペンダントとか?」

「そもそも、そういうのって土産にすんのか?」

「普通は女の子にあげるって言うと恋人からのプレゼントだもんねー」

「なっ、何言ってんだおまっ……!!ていうか何だそのやる気のない答えは!
 ちゃんと考えろよ!!」

「何怒ってるのさ。
 そもそも、機械鎧壊したのは兄さんでしょう」

「…そうは言っても、あいつはお前まで殴るぞ。絶対」

「『監督不行き届きだ』ってね。とばっちりだよ」

「だから、真面目に考えてくれって」

「兄さんがあげたいものあげればいいじゃないか」

「お前は何がいいと思う?」

「だから、兄さんのあげたいもの」

「お前はどうかって聞いてるんだよ!!」

「に・い・さ・ん・が、あげなきゃいけないものでしょ?」

「しかしだな…」

「街なかで恐いお兄さんにぶつかってケンカ売られたのも兄さん。
 『ちび』って言われていつものようにケンカを買ったのも兄さん。
 仲間を呼ばれて不利になったのに手を引かなかったのも兄さん。
 調子に乗って機械鎧を変形させたのも兄さん。
 …元に戻せなくなるなんてね」

「戻せなくなったんじゃなくて、戻したらいつもと調子が違うだけだ」

「つまり戻せてないんじゃないか」

「・・・。」

「まあ、何にせよウィンリィには日ごろの感謝も込めて喜ばれるモノをあげなくちゃね」

「・・・。」

「ピアスも随分喜んでくれたし、やっぱりアクセサリーはいいと思うよ」

「・・・。」

「どうするの?」

「・・・アルのすかたん。」

「何それ!?
 ・・・え?そっち行くの?アクセサリー屋さんじゃなくて?兄さん!!」






『おっちゃん、適当に質のいいヤツ見繕って!!』


よく晴れた青い空に、少年の声が響いた。










今回は確実性。
兄さんがアクセサリーをプレゼントできる日は遠い、かなぁ…。


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