先日の、こっぱずかしい事を叫んだ電話から5日。
俺は今、中央のそれとは明らかに違う田舎独特の穏やかさを持つ故郷の駅に、立っている。





あの日から弟は 「ああ言った手前、帰らないわけにはいかない。」 とうるさい。

ふるさとへ帰りたくない訳じゃない。

幼い頃から慣れ親しんだ自然は、都会での生活の疲れを忘れさせてくれる。
実の親のように心配してくれている生意気なばあさんの顔も見たいし、
懐いてくれている愛犬とも、久しぶりに遊んでやりたい。

何より、あいつに会えるから。

しかし、今はあまり気が乗らないというのも事実。
むしろ、あんな事があった直後で、一体どんな顔をして帰れと言うんだろうか。


荷物を持って嬉しそうに歩く弟の後ろを、少しだけ、ゆっくり歩いた。
何度も催促されては、文句を言いつつスピードを上げる。
それでもだんだん速度は落ちて、また催促、の繰り返し。

そんなくだらない事をしていても、目指す丘の上の装具屋はもう目の前だ。
そろそろ、諦めた方がいいかもしれない。


自分たちの気配に気が付いたらしい大きな犬が、庭先で吠えている。
その声を聞いたのか、家の裏手から小柄な年寄りが顔を出した。


「ばっちゃん、ただいま!」


明らかに嬉しそうな声で、弟が告げる。
その姿を確認し、何かを含んだような笑みを見せると、相手もまた、嬉しそうに応えた。


「めずらしい客が来たね。この間の電話じゃ、西の方にいるって言ってたんじゃなかったのかい?」

「そうなんだけど、兄さんがね・・・。」

「うるせえ!!」


弟が何かよけいな事を言いそうになったので、思わず大声を上げてしまった。
これじゃあ、こいつがわざわざ言うまでもないじゃねえか。

いかにも面白くないと言っている俺の顔を見て、ばっちゃんがまた笑った。
何か言われるのかと身構えると、何も言わずに玄関へ向かう。


「ウィンリィ!」

「!!!!」


いきなりかよ。

心臓が跳ね上がりそうな俺にはお構いなしに、階段を下りる足音が早まる。


   あいつは俺に、どんな顔で 『おかえり』 を言うのだろうか。












アルとばっちゃんはある程度策略家であって欲しいと想うのです。手玉にとられる兄。
へたれ萌えな暖簾さんの大好物だYO☆





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