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『はい、義肢装具のロックベルでございます。』 「あ、もしもし、ウィンリィ?」 『あらっ、アル?久しぶりね!!どうしたの?元気!?』 「あはは・・・。ウィンリィは元気そうだね。」 『元気元気!! っていうか、連絡くれたのなんて随分久しぶりじゃないの。 あたしもばっちゃんも心配してるんだから、 もっとちょくちょく連絡よこしなさいって言ってるでしょ!? あんた達何処にいるかわからなくってこっちからは連絡できないんだからさ!』 「あー・・・うん。ごめんねー。 だから今日は近況報告でもしようかと思って。」 『まあ、自分から電話してくれたんだから上等かしらね。で、今は何処にいるの?』 「えーとね・・・」 久しぶりの故郷への電話。 心配してくれている幼馴染みと保護者代理へ たまには近況報告でもしなければ、と受話器を握ってみたものの、 一体何を話せばいいものかと、そのまましばらく考えた。 結局、なるようになれとダイヤルを回してみたら、 世話焼きの幼馴染みによる質問攻めにより、 その心配も杞憂に終わってしまったようだ。 ひとしきり質問し終わって満足したらしいウィンリィは ふと、思い出したように改めて口を開いた。 『そういえば、エドもそこにいるの?』 「うん、いるよー。」 『じゃあ、かわってよ!声も聞きたいし。』 ぎくり。 一瞬、隣に控える気配が硬直した。 ウィンリィの声はよく通る大きな声で、小さなホテルの個室に備え付けられた電話で話をすれば 同室の、しかもすぐ隣で本を読む兄にも否応なしに声が届く。 「兄さん、ウィンリィが話したいって。」 「・・・・。」 エドワードは体を硬直させたまま、動こうとしない。 「兄さん?」 「やだ。」 「やだって・・・。」 『何なのよエド、あたしと話もしたくないって言うのっ!?』 受話器越しに兄弟のやりとりを聞き取ったらしいウィンリィが大声を上げる。 「ほら、兄さん。」 アルフォンスは動こうとしない兄に受話器を差し出した。 「別に、話す事ねえし。」 『ちょっと!電話くらい出なさいよ!』 「ほら、ウィンリィ怒らせちゃ駄目だよ。」 「うるせえな、いいじゃん、声なんか聞こえてんだろ。」 「兄さん!」 『エド!?』 弟と電話の向こうの幼馴染みに責められ、エドワードは抵抗する事が面倒になる。 何かが、切れた。 「あ`−もうっ、声聞いたら会いたくなんだろ!!」 しばしの、沈黙。 「・・・・・・ぷっ。聞こえた?ウィンリィ。」 『しん・・・っじらんない。』 目の前の兄は沸騰しそうなほど真っ赤な顔を隠すようにベッドに突っ伏している。 おそらく電話の向こうにいる幼馴染みも同じくらい赤い顔をしているだろう。 まったく、意地っ張りなところもそっくりな二人である。 幼いときからいつも一緒にいるアルフォンスには、 エドワードとウィンリィが本当の姉弟のように思える。 (このふたり、僕と兄さんよりそっくりなんだもんな。) 「えーっと、ウィンリィ?そんなわけで、兄さん電話にでられないそうだから。」 『・・・うん。』 「まあ・・・多分、一週間後くらいにはリゼンブールに帰ると思うよ。」 『・・・うん。』 そう言って、アルフォンスは電話を切った。 戻る |