「失礼しまーす。」

部活が終わると生徒会室に顔を出す。
それが、彼女の日課。





日も落ちてすっかり人気のなくなった校舎。
部活動の生徒達もほとんど帰ってしまっている。
まして校舎内活動の文化部で、こんな時間まで残って作業しているのは、
大会を間近に控えた、機械部部長のウィンリィ・ロックベルくらいなもの。

そして、年中仕事に追われている生徒会もまた、校舎が閉められるギリギリまで残っていた。



「・・・っと、アルは会議中?まだかかるのかな・・・。」


ウィンリィは生徒会室の入り口に備え付けられた、役員の名簿ホワイトボードに目を向けた。

彼女が毎日生徒会室に顔を出す理由、それは幼なじみの兄弟と共に帰宅するため。
迎えに来た相手の名前を探すと、
弟のアルフォンス・エルリックの名の隣には 『第2会議室』 の文字。
生徒会副会長であるアルフォンスは、自分の仕事はもちろんの事、
生徒会代表として様々な会議に出席している。

そしてもう一人の幼なじみ、兄のエドワード・エルリック。
彼の名の隣には何も書かれていない。


「・・・?」


確かに誰もいないと思っていた室内を見回した。


生徒会室のいちばん奥にソファとローテーブルだけが置かれた質素な応接セットがある。
入り口に背を向けるように置かれたソファの向こうに微かに揺れる金色を見つけた。


「またぁ?」


ウィンリィは少々あきれたような声を上げて、部屋の奥へと向かう。

回り込んでソファを覗くと、探していた相手、生徒会長のエドワードが寝息を立てていた。


  生徒会長って、誰より忙しいモンなんじゃないの?
  あたし、ここに来て仕事してるエド見た事無いんだけど・・・。


心の中でつぶやいて、もう一度寝顔を覗き込む。

すやすやと、子供のような寝顔。


  気持ちよさそう・・・。


そういえば昨日も大会の資料作りでほとんど寝ていない。
今日もまだ完成しないパーツの組み立てでほとんど眠れないだろう。


  アルは・・・まだしばらくかかるかなー。
  待ってる間暇だし、一緒に寝ちゃお。


ソファの空いている部分にそっと座り、エドワードが目を覚ましていないか様子をうかがう。


  大丈夫みたい。
  ホントによく寝てる。


その無防備な姿と、普段の生意気な様子のギャップを思って笑みがこぼれる。
幼なじみの特権だと、優越感を感じて目を閉じた。
小さい頃、よく3人で昼寝をしたものだと思い出しながら。

その時。


「・・・・・・・!!??」


突然かかった重みに驚いて目を開く。
目線の先、自身の膝の上に
相変わらず幸せそうな寝息を立てる幼なじみの顔。


  ・・・・・・・・はっ!!???
ちょっとまって、これって・・・


「エドっ、起きなさいよ!!重いぃぃぃぃぃ!!!」


慌てて頭をどかそうとするが、動かない。
それどころか揺すってもはたいても、エドワードが起きる様子は見られなかった。


  うそ・・・なんで!?
  まさか、アルが来るまでこのままとか?

  冗談じゃないわよ!!こんな重いもの一体何十分抱えてろって言うの?
  顔は熱いし、心臓はバクバク言うし!!


「あー、もう!アル、早く戻ってきてヨーーーー!!!!!」





ウィンリィの願いが届いたのは、それから30分ほど経ってからだった。











膝枕すきーでごめんなさい…。

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