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※百十訓、十一訓のネタバレと希望を含みます。ご注意下さい。 「―男のひとって、自分が父親の結婚した年齢に近づくと、やっぱり焦るものなの?」 「ハァ?イヤ俺父親なんてしらねーよ。ってか何だソレ」 「じゃあもし銀さんのお父上が今の銀さんの歳で結婚していたとしたら、焦らない?」 「いや別に?焦るって何にだよ」 「そう…そういうものなのね」 「何だソレ。じゃあお妙は自分が母親の結婚した歳に近づくと何かに焦るのか」 「そうね。もう母上は身を固めた年齢なのに、私はまだこんなふらふらしてていいのかしら…とかね」 「お前と母親は違う人間だろ。それに別にお前ふらふらなんかしてねーじゃねえか」 「まぁね…でも、やっぱり母親は女の子にとって人生の先輩だし、手本だし、目標だし、ライバルだしね」 「何?お前母親がライバルなの?」 「そうね、やっぱり憧れは同時に闘争心でもあるし。ライバルって、張り合ったり対抗したりしながら自分を磨いたり、人生を創っていく為の人のことを言うでしょう?母親と競い合って綺麗になったり、人生を成功させていくことって多いのよ。神楽ちゃんもきっとそうなんじゃないかしら」 「へえ…まぁ、いろいろ大変なんだな、女って」 「…そういえば銀さん、今の季節って、何だったかしら?」 「は?…や、春だろ?」 「春になったら結婚しよう、って前言ってなかった?」 「…いやいや、ソレはアレだろ?、ゴリラの奴がうるさいから春に結婚するんだ、ってその場を誤魔化しただけだろ?」 「そうだったかしら。でも約束は約束よね」 「約束じゃねーって」 「しかもこの春って、あの約束してから何回目の春かしら?ひぃふぅみぃ、3度目の春よね?」 「もしもーし?」 「普通結婚の約束してから3度目の春って言ったら、アレよね。 “…ねぇあなた…。あのね、アレが来ないの” “ん…何だ?アレって” “もう…!ねぇ、アレで解らないの?” “ああ…何だい?” “…月に、一度の…” “お給料?” “もう…ばかぁ…!!” 何て会話が朝食の会話で繰り広げられる辺りじゃないのかしら。そうよね、未だ籍はおろか何一つ夫婦らしいことしてないだなんて可笑しすぎるわ」 「…」 「ねえ、そう思わない、銀さん」 「俺に振るなぁァァァ!!ていうかさ、そんなに結婚したいってんならあの時柳生のチビガキのところに嫁に行ってれば良かったじゃねーか!!俺に言うな!」 「何よ!!勝手に来て色々めちゃくちゃにしちゃって結婚できなくしたのはどっちよ!ダスティン・ホフマンじゃあるまいし、似合わないったら!!」 「何だよ俺が悪いってのか!?」 「そうよ!どうして頼んでもいないのに助けに来たりなんてしたの?」 「なっ…!」 「ねぇ、どうして来てくれたのよ」 「いや、それは…」 「新ちゃんのため?それとも、神楽ちゃんが頼んだから?」 「…や、だから…」 「ねぇ、もう出会って3年経つのよ?なのに私たちまだ他人のままなの…?」 「…」 「お願い、答えて。どうしてあの時、私を助けに来てくれたの?」 「…」 「銀さん」 「…だから、その…」 「…」 「ソレは、だからな…」 「…」 「だから、俺は、お前が…」 「…」 「…お前が…」 「…」 「……………だーーーーっもう!!!!好きだからなんて言えるかコノヤロー!!!!」 「………アンタ、馬っ鹿じゃないのコノヤロー!!!」 「うるせェェェェェェェ!!!!…って何お前身体寄せてきたりなんかしちゃってんの?えっ?何かちょっとキモいんですけどぐふぉっ!」 「…もう。(………でもまぁあと3年くらいは、待っててあげてもいいわよ?)」 「んあ?何か言ったか?」 「別に。あ、前言撤回」 「なに?」 「私のライバルは、母上じゃなくて、銀さん」 「…どうして」 「…どうしてって」 「それを言ったらおしまいでしょう?」 戻る |