―ねぇ、エド。


“将来の夢”の「夢」も
眠っている時に見る“夢”も
どちらも同じ「夢」
そう、「dream」。
“すき”という言葉には
「love」「like」「favorite」っていう区別があるのに
どうして“夢”はみんな同じ「dream」なのかしら。
具体的なイメージを結ばせて出来上がるあの将来像と、
眠っているときのあの拙く曖昧なふわふわした感じが
ねぇどうして同じなのかしら。

どうしてだと思う?

答えは簡単よ。
どちらも「さめてしまうもの」だから。

眠っている時の「夢」は6、7時間もすればやがて覚めて、現実世界に引き戻される。
そう、「覚めて」しまう。

将来の夢。それは希望。あくまで希望でしかない。
希望なんて、希な望み。そう、滅多に叶う事は無いもの。
年月を経て、大人になって、世界を知って行く度、現実を知る。
同時に、夢は所詮夢でしかない事を知るんだ。
そうして夢は「冷めて」行く。目の前の現実だけを受け入れて行きながら。

そう、「夢」は、さめてしまうから夢、
さめてしまうものが「夢」なんだ。

だからだからおねがい。

あんたたちが身の危険を冒してまで旅を続けて、
いつか身体を取り戻すという事。
そのことが「夢」だなんて言わないで。

わかってるでしょ。
嫌と言うほど現実を突き付けられたあんたたちなら。
夢とはさめるものだと。

あんたたちのその強靭なまでの意思を、「夢」なんかにさせないで。
そのためにあたし今ここにいる。胸張って、あんたたちの力になれるように。
きっと見えるはずの、
あんたたちの近い将来のために―。











…ねぇ



…。








かさり。

音を立てて一枚の紙が空を切る。消印はラッシュバレー、宛先はセントラル。
そして俺の目の前に。

手の中に。

言葉は、目の中に。

思いは、胸の中に。




「…アル、紙飛行機ってどう作るんだっけ」

「えっ…どうしたの突然」

「んー、意思表示、…ってか宣戦布告?
送ってやるんだよ」

「あぁ、近況報告?」

「いや、未来への招待状。
…将来の画は大人数で見た方がいいからな」




―来たばかりの手紙を飛行機型に折り直す。
そうこれは宣戦布告。
お前に未来を見せてやるから首洗って待っていやがれ。
夢なんかで終わらせてたまるか、お前にも見せてやるよ。
うちの整備士。

そう、覚めることのない、何処までも熱い、
とびきりの近未来を。




「…なぁアル、ここどうやって折るんだ?」

「…やっぱり兄さんの芸術センスは理解に苦しむよ」




風に乗って
彼女の思いが届くように。
そう、俺の未来も。


一路、ラッシュバレーまでお願いします。











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