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あなたの大切な今日は、私にとっても大切な今日。 「ちょっと来て」 そう言って、覚めやらぬ宴の中から妙をそっと連れ出した。いつもより少し強引だろうか、妙の細い腕を掴む銀時の後姿は。 騒音を抜け出した二人がやってきたのは、銀時の愛車、水色のスクーターの元だった。 「?」 首を傾げる妙に、銀時はスクーターのシートからヘルメットを取り出し、「はい」と妙に渡す。 妙は、まだいまいち事態が飲み込めていないようであった。 「乗れ、ってこと?」 ああ、とぶっきらぼうに返す銀時は、何か後ろめたいことでもあるのだろうか――あるいは照れくさいのか、妙から眼を逸らすように、自分のヘルメットを被るとスクーターを発進させる準備に取り掛かってしまった。 一方の妙はといえば、スクーターに乗ることなど初めてだから、どうしたらいいのかわからなくて、座席のクッションを押してみたり、受け取ったヘルメットを裏返しにしたりと、そのさまは何処か挙動不審に見える。 渡されたヘルメットを被ろうとしてみたが、サイズが合わないのか前後に大きく揺れてしまう。今にもヘルメットが頭から落ちてきそうだ。視界が遮られたり、重さが後頭部に傾いてしまったりで上手く被れない。そのうちに、この顎紐をきつく締めればいいのだな、と言う結論に達したが、なにぶん初めてなものだから、やり方がわからない。カチャカチャと無駄に音を立ててみるが、その無機質な音が夜闇に響くばかりで、一向に顎紐が締まることはない。 「ちょっと、貸してみろ」 妙の様子に気付いたのか、銀時が妙の顎紐を締めようと、妙に顔を近づけてきた。その差、30センチメートル未満。 「…」 直ぐ目の前に銀時の眼が、髪が、口が、指がある事実に、妙は自分の中の何かが弾けるような感覚を抱いた。心臓が耳元にあるのではないかと言うくらい、自分の鼓動が激しく聞こえた。 銀時の方はといえば冷静に、慣れた手つきで妙の顎紐をきつく締めていく。 「これでよし」 ヘルメットがぐらぐらと揺れることは無くなった。 けれど何か不思議な物足りなさを妙は感じた。 「じゃあ、行くか」 「何処に?」 「いいから、ホラ乗れ」 シートに跨る銀時に倣うように、妙も片鞍乗りでシートに乗った。 さて。 「…つかまれば?」 妙はまた何かごそごそしている。 「…何処につかまったらいいのかわからないんだけど。…肩でいいの?」 「いや、そんなんじゃ振り落とされるぞ。ただでさえその乗り方なんだから」 着物の妙は銀時のようにしっかりと跨ることができない。 「ほら、ここ掴め、ここ」 そう銀時が指差すのは自分の腰だ。 「…いいの?」 照れくさいのか、恥ずかしいのか。上目使いの妙がおずおずと銀時に尋ねる。 返事の代わりに銀時は妙の腕を掴むと、少し強引に自分の腰に回した。 「きゃっ…」 「ホラ行くぞ!しっかりつかまっとけよ!!」 ブォォォ、と鳴り響くエンジン音とともに、銀時と妙を乗せたスクーターは走り出した。 今朝のことだった。 いつもは特定の主がいない所為かとても静かな万事屋の台所が、やけに騒がしかった。 「だっ、駄目だよ神楽ちゃん!!さすがにそれは蜂蜜入れすぎ!!」 「銀ちゃん甘いもの大好きだから別にいいネ。細かいこと気にするからお前はいつまで経っても新八アル」 「なんだとコルァァ僕がいなかったらなんにも料理なんて出来ないくせに!」 「はいはい喧嘩しないの。それより飾り用の錦糸卵が出来たんだけど味見してくれないかしら?」 「いやっ、姉上、そそそそれは出来上がったときのお楽しみで…」 何かを企てているのだな、と言うことは分かった。台所の暖簾をくぐり、ひょいと首を出す。 「オメーらさっきから一体何やってんだ。秘密結社ですかコノヤ…」 言い終わらないうちに顔面にラーメンの丼が小気味よい音を立てて命中した。 折れた折れたと必死に血の滴る鼻をさする背中に、神楽の怒鳴り声が響く。 「何してるアルカ天パ!オメーなんかお呼びじゃねぇアル!!けぇれヨ!!」 アイツ一体何処でそんな言葉覚えやがった、と台所を睨む目に、いつからそこに居たのか、中に居たはずの妙がちり紙を差し出しながら声をかけた。 「ごめんなさいね、今新ちゃんも神楽ちゃんも必死なのよ。私も」 その表情は穏やかで、どうにも何かを企てているというような風体ではなかったが。何かあんのか、今日?と尋ねると、途端にその表情が曇った。 「もしかして銀さん、今日が何の日か分からないの?」 そう言われてカレンダーに目を遣る。今日は10月10日、火曜日だ。 …10月10日と言う響きに、何か覚えを感じた。 「もう、忘れちゃったの?…今日は銀さんのお誕生日でしょう?」 台所に聞こえないようにか、妙が小声でそっと囁いた。そうしてにこやかに笑う。 「お誕生日おめでとうございます、銀さん」 あっけに取られた様子の銀時に、妙はなおも言葉を続ける。 「私と新ちゃんと神楽ちゃんで、今夜は腕によりをかけてご馳走作りますから、期待しててくださいね。場所はお登勢さんのところですから」 「…何?お前が企画でもしたの?」 「ええ、お祝い事は大勢でやったほうが楽しいでしょう?これ、一応サプライズってことにしてあるんですから、嘘でも驚いた振りしてくださいね。私が教えちゃったって内緒ですよ」 だったら初めから教えるなよと言いたいところだが、何となく妙の気持ちも分かるので黙っていた。密事と言うのは早く誰かに伝えたくて仕方がないものなのだ。まして相手が親密な人間であるならば。 それにしても。 「…別に誕生日なんて、歳が1つ増えるだけだろ」 そう言い捨てると、妙はくすくすと笑う。 「そう言うと思った。でもね、あなたにとってはそうかもしれないけど、私にとっては違うのよ。私の大切な銀さんが、28年前の今日に生まれてきたって言う、とっても大事な日なんだから」 目の前の大輪の華のような笑顔が語る言葉に、返事が出来なかった。 暖簾の向こうから聞こえる「姉上ー」と呼ぶ声に、妙はまた後でね、と台所に駆け込んでいった。 そして今から数時間前。 銀時の微妙な驚きとともにスナックお登勢で誕生日を祝う会(という名目の、結局いつもの呑み会)が開かれた。 新八、神楽に妙は三人で腕を振るった料理をたんまりと披露し、お登勢とキャサリンは自分の料理とともに珍しい酒を出してくれた。長谷川もやたら酒とつまみを持参し、何処からか現れたさっちゃんは手作りカレーと手編みのマフラーと納豆と言うなかなか奇妙な取り合わせのプレゼントを持ってきた。 宴は大いに盛り上がり、銀時もそこそこに楽しんでいた。 この独特の雰囲気が、銀時は嫌いではなかった――けれど。銀時は宴もたけなわの中から妙の腕を半ば強引に連れ出したのだった。 ――そして、現在に至る。 始めは緩やかに、だんだん速く自分のもとを滑っていく夜の街。妙は真正面からの風を浴びながら、次々に現れては流れていく鮮やかなネオンを眺めていた。 初めての感覚だった。まるで自分と銀時がそのまま風と一緒に溶けていくような。 バイクに乗るのは初めてではない。 なんやかんやで暴走族の真似をして弟の友人を助けた時に――ただ、あの時は自分が運転していた訳だけれど。あの時も、まるで自分が風になったようでとても気持ちよかったのだけれど、今のこの気持ちよさは、あの時のそれとは何処か違っていた。 それはきっと、前に銀時がいるからだ、と妙は自覚していた。 筋肉質の背中に腕を回して、そしてほんの少しだけ身体を寄せて。 聞こえてくる振動は、スクーターのものだけではなかった。 その事実にどこかほっとして、そして何かが切なくなって、ほんの少しだけ、回す腕に力を込めて、頬を寄せた。 銀時は何も言わないし、何も感じていない素振りをした。ただその硬直した背中は、まるで隠しきれない思いを表しているようにも受け止められた。 スクーターは軽快な音を立てて、かぶき町を駆け抜けていく。 いつも見ていた景色がまるで、初めて見るもののように輝いて映った。 いつのまにか、辺りは暗くなっていた。 空が暗いのではない、景色からネオンが消えているのだ。 今この銀時のスクーターが走っているのは、そこは妙の知らない場所であった。 「…ねぇ、何処に行くんです?」 何度目かの質問をした。そのたびに返ってくるのは「いいから、つかまってろ」ただそれだけであったが、今回は違った。 「もーすぐ着くぜ。何か感じねぇ?風とか、匂いとか」 風?匂い? 妙は小さく首をかしげ、言われるがまま、すんすんと風の香りを感じてみた。そういえば、風も先程の風とは何処か違っている。 もしかして。 妙の頭に浮かんだ答えは、次の刹那目の前に大きく映し出された。朝焼けの近い、紫がかった雲が群青色の上に浮かんでいた。 「―――海!!」 当たり前といえば当たり前ではあるが、さすがにこの時間に人影は見あたらなった。スクーターから降りると、ヘルメットもそのままに妙は銀時に切り出す。 「どうして?」 「ん?」 気だるげな返事で銀時もスクーターから降りる。 「こんな時間に、わざわざこんなところ来て…皆、心配してるかもしれませんよ」 「だいじょーぶ。出て来る前にババァに言ってきたから」 「何て」 「ちょっと抜けてくるって」 「…全然「ちょっと」じゃないと思うんだけど…」 むくれているのか、何かが不安なのか、俯いてしまった妙の言葉は消え入りそうなものであった。 いいから見てみろ、と、銀時は正面の海に向かって指を指す。導かれるかのように妙も正面を向いた。 「もう少しだ」 二人の瞳に、白やみ始めた遠い空が映っている。わぁ、と思わず妙は感嘆の声を漏らした。 群青色に沈んでいた深い海は、徐々に世界に現れてくる白い光のもとで、その美しい姿を表にあらわしてゆく。群青色の殻を割るかのように世界に姿を見せたその海の青さはこの上なく美しいもので、まるで銀時の白い着流しすらも青に染めていくようであった。空と海との境界線は光に照らされ、金色の輝きを見せている。 朝焼け。 太陽がこの海を、銀時と妙を、そしてこの世界を照らし出し、そして包みこむ。 「綺麗」 そう言葉を漏らす妙の瞳は太陽と海の反射する光を受けて、きらきらと輝いていた。銀時はそんな妙の瞳をちらと見ながら、こほん、とわざとらしい咳をする。 「…さて、そろそろ本題、いい?」 え、と妙の視線が空と海から銀時に映る。銀時の瞳や頬も、そして銀色の髪も、光を浴びてきらきらと輝きを見せていた。 「本題って」 と言いかける妙の瞳を、銀時の瞳が覗き込む。その刹那、妙の胸の奥で、先程ヘルメットの顎紐を締めてもらった時に感じたものと同じような感覚を抱いた。 そして銀時は、こほん、とまた咳を一つ。言いにくいのか、恥ずかしいのか、それともそのどちらともなのか。 「…プレゼントが欲しいんですけど」 真摯な瞳から零れてきた言葉は、その眼には不釣合いなくらい可愛い言葉だ――と妙は思った。 プレゼント。 妙は去年の銀時の誕生日のことを思い出した。 銀時は真摯な眼でこう言った。 「晒みたく自分の体にリボン巻いたり、頭の上に着けたりして“私がプレゼントよ”ってやってください」 そのときは顔の原型が無くなるくらい激しい拳を与えてやったものだ(それでも直ぐに回復する辺り、さすがは週刊漫画だと思った)。 まさか、とは思うが。 そんな奇天烈なことを、或いはそれに近いことを、わざわざこんなところ迄来てやらされるのだろうか? 躊躇いながらも、銀時の真意は聞いてみなければ分からないので、言葉を選んで問うてみる。 「それは…去年みたいなこと、じゃないわよね」 選んだつもりが思い切りあからさまに聞いてしまった。しまったと思いつつも、今更口に出してしまった言葉は訂正の仕様がない。 ――妙の言葉に、肩をすくめるように反応しては、ポリポリと居心地悪そうに頬を掻く。 もしこの前と同じことを言われたら、この前の3倍返しで仕留めてやろうと思っていたが――。 「えっと、その、たまにはお前からキスしてくんねぇ?…かなぁ、と思ったんだけど…それがプレゼントで」 尻すぼみになるその言葉は、明らかに自信の無さを表していた。 キスして。 その言葉に妙の頬は一気に赤に染まる。思っていたよりも随分優しい言葉ではあったが。 …だめ?と妙を見つめるその瞳は、まるで仔犬のように潤んでいた。 正直な話、この2人の中ではキス以上のこともしている訳だが。それでもこう、素直に言葉にされると恥ずかしくてたまらない。 なにぶん、二人の間のキスとは、専ら銀時の方からしてくるものであって、妙が自分から銀時にキスをしたことなど、今まで一度としてなかったのだ。だから、この誕生日くらい妙の方からキスをして欲しい、と言う銀時の気持ちは、分かる。もし自分が逆の立場だったとしても、同じようなことを希望するかもしれない。 「…そ、それでいい、の?」 妙の言葉はたどたどしい。 本当にそれでいいのかと言う疑問、それで済んでよかったという安堵感、そして自分からキスをするという恥ずかしさがそこにはいっぱいに込められていた。おう、と返事する銀時も余裕を見せながらも何処か、気恥ずかしそうだ。 少し上にある、銀時の瞳をじっ、と覗き込む。応えるかのように、銀時も妙の瞳を見る。銀時の瞳に自分自身の姿が映っていることが、照れくさくて、何処かでは何かが愛おしくて、たまらないと妙は思った。 眼くらい閉じてよ。 そう言ってもきっと、銀時は眼を閉じないだろう。それは普段のキスで分かりきっている。 妙は覚悟を決めたように、銀時の肩に両手を置くと、そっと背伸びをした。 銀時がいつも妙に与えるような、甘美なキスなどきっと出来ない、けれどせめて、唇をそっと重ねるだけでも。 そう心の中で自分に言い聞かせ、妙は銀時に顔を近づけた。 触れ合うのは唇の温もり――ではなく。 ごち 頭の上で無機質な音が響いた。そしてそれ以上、顔を近づけることが出来ない。 「あ」 ここに来て肝心なことに気がついた。 「ヘルメット…被ったままだったね…」 2人の唇が触れ合うより早く、2人がいまだ被っていたヘルメット同士がぶつかってしまい、結果としてそこから先に顔を近づけることが出来なくなってしまったのだ。 「ごっ、ごめん!今すぐ外すから!」 と妙が言うより早く、銀時は妙の腰に手を回す。妙の身体を自分にぴったりと寄せて、離さない。 「いやいやもう、ここまで来ちゃったらそんなのどうでもいいから。何かうまくして、ぶつからないようにやって」 男は女に比べ、一度走り出した欲情を制御することが非常に困難なのだ。 「そっそんなこと言われても…」 急かされるような銀時の言葉に、妙は必死に首を曲げて顔を近づけられるような角度を探す。このときばかりは腰に回された手が些か窮屈に感じたが、そんなことも言っていられない。 そうこうしている間も、銀時の真摯な眼差しは真直ぐに妙を射抜く。――照れくさいくらいに。 必死に、それこそ無我夢中で首を曲げたりかしげたり必死になるが、どうにも焦りと羞恥心のせめぎ合いで、上手くいかない。 ちょっと待って、直ぐにヘルメット外すから、と妙は自分の顎紐に手を掛けたが。銀時は痺れを切らしたのか、片手でその手を掴むと、 「ああ、もういいから!俺の方がするから!!」 と妙に顔を近づける。 「えっ、ちょ、ちょっと…!」 思わず眼を見開いてしまう妙に。 「いいから早く眼閉じろ!!」 自らの焦りをむき出しにして、叫んだ。 自分はいっつも思いっきり眼を開けてるくせに!と心の奥で叫んで、妙は言われるがまま目を閉じた。出来る事なら、銀時が一体どれくらいの角度で首をかしげてキスをするのか見てみたかったのだが――。 いつもとは明らかに違う角度で触れてきたそれに、そんなことなど何でもいい、と思えてしまった。 第一、もしコレが自分の立場だったら、恥ずかしくて恥ずかしくて、銀時に目潰しを食らわせてでも眼を閉じさせたかもしれない。 潮風の所為か、いつもより銀時の唇は乾いていて、そしてしょっぱかった。それでもそのキスは十分なまでに甘くて――。 唇が離れた時、思わず笑ってしまった。 「何がそんなにおかしいんですか」 銀時の上ずった声は明らかに照れくささを隠しきれていない。 「別にー」と満面の笑顔で、妙はおでこを重ねるように、自分と銀時のヘルメットをこつん、と合わせる。刹那に妙は銀時の大きな身体に包まれた。スクーターの後ろから感じた銀時の鼓動が、今はほんとうにすぐ傍に感じる。温かくて、愛しくて、そして何処か切なくて。妙はそっと瞳を閉じると、小さく呟いた。 「…どれだけロマンチストなのよ」 海に行って、一緒に日の出を見て、そしてキスして、だなんて。 けれど何となく、ではあるが、妙は銀時の気持ちが分かった。 きっと銀時は嬉しかったのだ。自分がこの世に生まれてきたことを祝福してくれる人が沢山いることに。まるで自分の大切な日であるかのように喜んでくれることに。 その喜びを隠し切れなくて、こっそり自分を呼んだのだ。その事実がまた、この上なく嬉しかった。 何か言ったか、と銀時の声が聞こえる。 「…“お誕生日、おめでとう”って言ったの」 「昨日になっちゃったけどな」 そう言って妙をいっそうきつく抱きしめる。 「な、来年の誕生日は、さ…今度こそ、お前の方から、キスしてくれる?」 ――この男は、この期に及んで。 妙はくすくすと笑いながら言った。 「あら?来年まで待てるんですか?」 「待ちたくないけど…」 何処か寂しそうに呟くその髪を、伸ばした華奢な腕でゆっくりと撫でた。そして笑顔で囁く。 「――銀さん、私のヘルメット、外してくれます?」 「え?」 「そうしたら銀さんにキスします」 自分でもどうして、そんな言葉が自然に出てきたのか不思議で仕方がない。ただ銀時への愛しさが、妙にその言葉を紐解かせた。 マジで?と銀色の髪が揺れて、言葉より先に腕が妙のヘルメットを外す。伏せられていた妙の瞳がヘルメットを外されると同時に、上を向く。銀時を見上げるように、そして見つめるように。 肩に手を掛けて、唇を近づけて――。 ざざぁ、と言う波の音が、二人の息すら飲み込んでいく。 二人の交わしている口付けのその一連の所作は――妙は気付いているのか、いないのか。まるで、十字架の下で交わす誓いの口付けによく似ていた。 もうすぐ、10月11日の朝がやって来る。 銀時が生まれて28年後の明日、2人はまた新たな一歩を踏み出した。 銀妙お誕生日本として発行した「GeburtstAg」のうちの一話を、サイト用に書き改めたものです。また、銀さんの年齢が28歳となっているのは、あくまでもこの話の中の設定です。 と言うわけで、銀さんお誕生日おめでとう☆ 戻る |