◎再生への流れ

 〔1.工事の目的〕  〔2.営巣地情報〕  〔3.営巣地調査〕  4.検討  〔5.施工〕  〔6.完成後の状況〕  〔7.改良工事〕  〔8.改良後の状況〕


 T.検討の方向性

    カワセミの営巣を地再生する工法検討は、本箇所で行っている篭マット護岸による工法で着目した 『多様性のある水辺空間の創出』 を
  基本として行われました。
 
     具体的に言うと 『カワセミだけを考えるのであればカワセミ用
  営巣ブロックの使用となりますが、工事前の河岸に少しでも近い
  状況にすることで、鳥や魚、昆虫など様々な動植物が共に生息
  できる環境ができればその方が【自然】に近い』 という考えです。

  ◆カワセミ用営巣ブロックとは…。
   ◇平成4年にカワセミの営巣を考え開発されました。
    ◎現在、色々な問題が提起されていますが、カワセミの営巣地
      を再生できたこと(世界初)は、画期的なことだと思います。
   ◇カワセミブロックでカワセミが営巣した巣穴は毎年の清掃
     が必要で、ブロック背後の土は5年程度に1度、入れ替え
     が必要と言われています。

    ◎カワセミブロックは毎年メンテナンスが必要です。

   本工事箇所の対岸にはカワセミブロックで別のつがいが営巣し
  ていました。(右の写真は対岸に設置されているカワセミブロック)

  

  *私としては…
     ◎カワセミ用営巣ブロックの開発は本当に凄いこと。
     ◎カワセミ用営巣ブロックは単種の保護的な営巣地対策なので河川 の多様性の観点から考えると疑問がある。
       ◇平成5年に北海道のオホーツク海にそそぐ自然豊かな渚滑川で、洪水によって河岸が決壊し現地状況を調査に行った国土交通
         省の職員が、土中にあったスズメバチの巣を踏んでスズメバチに刺され病院に急行しました。
         その後、その場所で護岸工事を実施することになり 『蜂の巣護岸でも考えますか?』 と提案しましたが即却下されました。(爆笑)
         でも、僕がスズメバチなら 『差別だー!』 と叫んで一刺し!!(水爆)
     ◎今後の 『川づくり』 において自然環境への対応策は多いほど良い。
     ◎それぞれの河川特性(自然環境)に応じた対策(工法)を考えることができるきっかけが必要である。
    と思います。


 U.検討結果

    カワセミの営巣条件を調べ(カワセミブロックで得られている様々な調査結果が役立ちました。)検討を行い 『垂直な土の面を崩れすぎな
  いように造る(崩落河岸を再生する)』
 ことで、カワセミも営巣する環境が再生可能な工法を導き出しました。


    右の図が検討により導き出された工法の断面図です。緑の線
  が当初考えていた施工線です。

    この工法は、垂直な土の面を垂直に保つのではなく、自然の
  作用によるある程度の崩れを許容して、崩れを一定範囲で治め
  る 『考え』 からできています。
   土が崩れすぎないようにするため
     @崩れの原因を考え、「天端ブロック」でオーバーハング
       (帽子のつば状)にしました。
      A土の乾燥を考え天端ブロックとL型壁はポーラスコン
       クリートブロックを使用しました。
    土面の高さは工費の問題などから50pになりました。
    また、留まり木(普通の丸太杭)はカワセミの営巣を考え設置
  しています。
  
 
  *私としては…
     ◎この断面図を他の場所にそのまま適用することはお薦めできません。この断面の元になっている 『考え』 をヒントにそれぞれの場所に
       応じた断面を考える必要がある。
     ◎カワセミ用営巣ブロックが最善な場合もあるので、十分に検討を行ってそれぞれの現場に応じた工法を選択することが大切。
    だと思います。