++月の系譜シリーズ++ |
瑠璃の音 |
◇ 話の内容 ◇ 私立向が丘女子高校の二年生の山吹泉は、ごく平凡な高校生活を送っていた。 しかし、未来を予言できる不思議な力をもつ友達の児玉茅世が「教師が一人こなくなる」と 予言した通りに音楽の教師の暮林が入院し、代理の榊隆信がやってきてから和泉の生活 に変化がおとずれる。 榊は泉に「帰りましょう」と氷のように冷たく語りかける・・・。 その時悪寒を感じる泉。 その後も泉に接触してくる榊に対して次第に嫌悪感を増す泉だが・・・。 |
◆ 感想 ◆ 私が金蓮花先生の小説を読んだのは、雑誌コバルトで銀葉亭茶話シリーズの蝶々姫綺譚 を読んだのが初めてでした。 その時すごく綺麗な話を書かれる人だなぁと思いました。 この本は鬼の出てくる話を探していた時に読んだ本です。 買ったその当時、私は、何故か鬼の出てくる話が読みたかったんです^-^; (今でも密かに探していたりする・・・) この本の話は、泉の覚醒序盤編です。 何も知らない泉に榊がすごく意地悪してますが、もっとこの状況の二人の話を読んで見た・・ いなぁと思った私は変でしょうか(笑) 痛そうな場面が出てきて、何せ「瑠璃の音」ですからねぇ^-^;ちょっと引きましたが、私が このシリーズの中で一番好きな本です。 |
玄冬の曠野 |
◇ 話の内容 ◇ 星領大学附属目黒高校に転校する山吹泉。 そして、泉と同じ高校に養護教論として入りこむ榊隆信。 2人の目的は、梨貴家にある《竜宮の岩笛》を手に入れる事だった。 《竜宮の岩笛》を手に入れるために同じクラスの副委員長、梨貴由香里に近づく泉は、何 故か由香里が幼なじみの鈴木絵美に他人を近づけさせようとしない事に気づく。 由香里と絵美の間には何かある様だが・・・。 |
◆ 感想 ◆ 話の中に出てくる榊は、鬼っていう神秘的な存在だからこそ、よりいっそう綺麗なキャラク ターに見えるんだと思いますが、こういう存在を旨く書ける金蓮花先生は凄いなと思います。 金蓮花さんの小説を読んでる人で、この榊が好きな人って結構多いでしょうね。 私も榊は結構好きです。 人間では持つ事の出来ない雰囲気を持つ、榊と泉が一緒にいる時の、引きつけられる様 な感じが何とも言えないです。 ここから下↓話の細部の事を書いてます。 この本でちょっと気になった事があります。大したことでは無いですが^-^; それは、クラス委員長と副委員長が幼馴染だと言う所とか・・・って、まぁこれはある事かも 知れないのであまり気にはなりませんが、転校して来た泉の席がクラス委員長達のもう一 人の幼馴染の隣の席になり、さらにこの幼馴染の三人は同じ班で、そこに泉も入れてもらい ます。 この班って、スキー合宿の為だけの気の合うもの同士で作った班なんでしょうか? 結局この班でどうとかって言う話が出てこなかったので、どうでもいいと言えばどうでも言い 話なんですが、これは偶然とはいえなくて都合が良すぎる部分があると言えなくは無い様 に思いました。 細かい事を気にしすぎですね私^-^; |
響鳴の森 |
◇ 話の内容 ◇ 活動し始めて半年で人気が急上昇しているロックバンド「FASHION GAME」のコンサー トに行った山吹泉は、コンサートの打ち上げに行った帰りに氷の礫に襲われる。 その直後「FASHION GAME」のヴォーカルの谺(こだま)に出会うが・・・。 一方、榊隆信は局地的に地震が起こるという旧笈川(おいかわ)邸に、地震を鎮める為に 呪術師として来ていた・・・。 そこで鬼、阿夫利と出会う榊だが・・・。 |
◆ 感想 ◆ セイは味方なのか?敵なのか?気になりながら話しを読んでいました。 「御前」っていう言葉と「政界」という言葉が出て来たときは「創竜伝」の事をふと思い出しま した。(全然関係ないけど(笑)) ところで、この話のなかで気づいた事があります。 また細かいところなんですが^-^; 「FASHION GAME」のヴォーカルの谺が、泉に「誰よ?」っと言われて答えた言葉が、 この話の中では2回出て来きますが、最初の方では「……オレたちに会いにきたんだろ?」 (41ページ)と答えていますが、後のほうでは「……オレに会いにきたんだろ?」(87ページ) と答えています。 オレたちとオレにでは違いますよね(笑) まぁ、後のほうは谺の回想なので意識的にそうなってるのかなとも思いますが。 ただの写植ミスかな?^-^; |
焔の遊糸 |
◇ 話の内容 ◇ 「常世の姫」に会うために、九木家の家宝、「夏越の弓」を権力で強引に手に入れる《京都 の御前》若王子千尋。 一方、小野瀬聖磁と地下街に買い物に来ていた山吹泉は、テレビモニターに梨木慎理の 姿を見て、聖磁に「先に帰って」と言い残してどこかえ行ってしまう。 これは泉を呼び寄せる為の誰かの罠だと気づく聖磁だが・・・。 |
◆ 感想 ◆ この話しでは「玄冬の曠野」で出てきた梨木真理が再び登場します。 でも今回は、泉と真理の直接の会話がなかったのが少し残念でした。 家宝を取り戻すために、自分で自分の腕を傷つけてまで、術を使おうとする佐保子が痛々 しいなと思うのと同時に怖いなぁと思いました。 ところで、この本の最初の方で、榊と真澄が待ち合わせの場所で会った時、榊達は吸った タバコを海に捨てる場面が出てきますが、ゴミを海に捨てるなんてなんて悪いヤツだ!と 思いました(ーー;)でも、榊は鬼だからそんな事関係ないのかな? そういえば、「響鳴の森」で榊は速見にタバコをすすめられた時に、「失礼たしなみません ので」と言っています。 にも関わらずこの本では何回かタバコを吸っている場面が出てきます。 あの時は遠慮していたのかな?些細な事を気にしすぎです私…^-^; |
有明の鬼宿 |
◇ 話の内容 ◇ 「白梅の夢」と「夢に惑う」が収録されています。 <白梅の夢> 神戸に住む中学2年生の竹之内直子は、左腕に秘密を持っていた。 それは、1月10日、友達の高原美穂達と西宮神社に初詣に行った時に、直子にえたいの 知れない物がぶつかって来た時から始まる秘密だった。 その時見た白装束の『彼』の事が、今まで好きだった山岸京也以上に気になる直子。 直子は『彼』が迎えに来てくれるのを待っていたが・・・。 <夢に惑う> 小野瀬聖磁(阿夫利)の住むマンションに、聖磁の叔父で写真家の小野瀬馨(かおる)が 帰ってきていた。 各務宗春の写真集を撮ることになった馨が、阿夫利に見せたビデオには、桜の花が散る なかで舞う「桜の巫女」の姿だった。 小野瀬聖磁がどんな過程で阿夫利の器になったのかが書かれている話です。 |
◆ 感想 ◆ この本は、月の系譜シリーズの番外編です。 タイトルの「鬼宿」の意味は蟹座の甲羅にある4つの星の中国名だそうです。 人が死んだ時、「魂魄」の魂は天に昇って神になり、魄は地上に残って鬼と呼ばれる精霊 になるらしいです。 その蟹座の4つの星が鬼と呼ばれる精霊(魄)を表しています。(あとがきより) 綺麗なタイトルですね。 それから、「桜の巫女」の名前の一部を、栗の花の落ちる時期が梅雨頃なので栗花を「つ ゆ」と読ませてるのも綺麗だなと思いました。 <白梅の夢>は神戸が舞台になってます。 竹之内直子は左の手首を自傷する癖があり、その「左腕」に秘密が息衝ますが、「左腕」と 言えば、「焔の遊糸」に出てきた佐保子も「左腕」を自分で傷つけていました。 意味はなさそうだけど妙に「左腕」が気になりました。 それにしても、この話の榊の登場の仕方は笑えました。 あんな事もできるんですね(笑) <夢に惑う>では、賞味期限が過ぎているレーズンバターを彼らは本当に食べたのかなと いうのが気になりました^-^; |