第十八話〜「ふれあい」〜
「ねえ、今日の映画どうだった?」
「うん、凄く良かった。あのラストがいいよね。」
「うんうん、静かなシーンなんだけどそれがかえっていいのよね。」
「やっぱり人気になる映画は出来が違うね。」
「あ〜、これDVD出たらすぐ買っちゃいそう。」
「くすっ。 気が早いよ。」
「だって、それぐらい良かったんだよ。」
「はいはい。」
「ところでちょっとノド乾かない?」
「そうだね。ちょっと離れたところだけどいい喫茶店有るんだけど、行く?」
「行く行く!」
「じゃあ、こっ・!?」
彼が指さそうと伸ばした手にあたしの手が一瞬重なる。
彼と出会ってから今も続いている”友達以上恋人未満”な関係。
この失う物のない心地よさと同時に全てが満たされることのない
やるせなさがせめぎ合うあたしの心に電流が走る。
「ご、ごめん。」
「ん。 だ、大丈夫…。」
「そ、そう、良かった。じゃ、こっちの方だから。」
「ちょっ、ちょっと置いてかないでよ。」
「あ、ああ。ごめん。」
少し気まずい雰囲気の中、あたし達は静かに歩いている。
(手、繋ぎたいな。)
さっきからあたしはそれだけを思っている。
今度はゆっくりとあのぬくもりをもう一度感じたい。
でも、手を出す勇気がない。出せない。
そんなもどかしい思いのループを彼の声が終わらせた。
「たよ。」
「えっ?」
「もう、着いたよ。ほら、ここ。いい感じの店でしょ。」
「えっ、う、うん。」
「ほら、入るよ。」
”きゅっ” そんな音がするような柔らかさで彼があたしの手を握る。
彼の手の温かさがあたしの心も暖めてくれるような感じがする。
あ、彼ちょっと赤くなってる。
あたしはもっと赤いかもしれないけど…。
でも、同じだからいいよね。
「うん。」
カランコロ〜ン
「いらっしゃいませ〜。」
〜Fin〜