第十六話〜「風」〜
 
 
 
 
 
「さあ、行くよ。」
 
「うん。」
 
ガチッ、ヴォォォォォ〜ン。
 
 
僕はいつものように彼女を後ろに乗せてバイクで街を駆ける。
 
そういえばいつからだろう。
いつの間にか僕のバイクのタンデムシートは彼女の指定席になっていた。
思えば彼女以外の人をタンデムシートに乗せたことがないような気がする。
 
 
ヴォォォォォ〜ン。
 
 
バイクのスピードを上げると彼女の腕が僕をさっきより強く抱きしめてくる。
 
 
背中越しに伝わる彼女の温もりと僕をしっかりと抱きしめる柔らかい腕が
僕に風を切って走る心地よさに優しい気持ちを加えてくれる。
 
 
 
”こういうのっていいな”僕が一人、悦に浸っていると後ろから彼女の声。
 
 
「ねえ、ちょっと休まない?」
 
ああ、そういやちょっと冷えてきたな。彼女はもっと冷えてるかも。
ちょっと悪いことしたかな。
 
「そうだね。せっかくここまで来たからもう少しだけ行って
”サンテラス”のシチューパンセットなんかどう?」
 
「賛成、急ぎましょ。」
 
「じゃ、行くよ。しっかり捕まって。」
 
「うん。」
 
 
 
〜Fin〜
 
 
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