第十四話〜「BLACK or WHITE?」〜
「う〜ん…。どれにすればいいんでしょう…。」
私は今、スーパーの食料品売り場で一人悩んでいます。
悩んでいるのは普通のチョコレートとホワイトチョコレート、
甘いチョコレートと少し苦めのビターなチョコレート、
どのチョコレートを選ぶかです。
私としては彼にプレゼントするチョコは甘いホワイトチョコがいいと思っています。
でも、彼は甘いのが苦手なんです。
せっかくのバレンタイン。彼はどんなチョコでも受け取ってくれると思います。
でも、それが美味しくないチョコだったら彼も少し寂しいと思いますし
私も少し悲しいです。
だから甘いのが苦手な彼に美味しく食べて貰えるチョコを作ろうと
奮い立ったまでは良かったのですが
こんなに種類があるとどれを選んでいいのか困ってしまいます。
「よっ、こんなところで何やってんの?」
「ひゃっ!?」
急に後ろから肩を叩かれた私は思わず変な声を上げてしまいました。
よく見るとそれは私の幼なじみのきみちゃんでした。
どうもうんうん唸ってる私を見つけて興味津々のご様子です。
「あんた、さっきからそこでず〜っと何唸ってるの?
って、ああ、チョコレートね。
どうせ’しん君(彼氏の愛称です)は甘いのが苦手ですから
ちょっとビターな方がいいですかねぇ。
でも、せっかくのバレンタインだからちょっと甘いのも食べて欲しいですよねぇ’
なんて思ってたんでしょ?」
あぅ、思い切りばれています。私、とても恥ずかしいです。
「ど、どうして分かったんですか?」
「だってあんたいつも顔に出てるよ。」
きみちゃん、凄く楽しそうです。
私はこのままきみちゃんのオモチャになってしまうのでしょうか?
何か笑顔がいつもより生き生きしています。
「ま、しん(きみちゃんはしん君を呼び捨てで呼びます)なら
あんたのチョコならどんなチョコでも喜ぶよ。」
「そうでしょうか?」
「あったりまえじゃん。あんたの作ったチョコを”まずい”とか”食えない”とか
言うような奴じゃないからね。」
それは分かっています。
でも、その気持ちが分かるから私もしん君に美味しいチョコを食べて欲しいのです。
「第一、あんたちゃんと心込めて作るんでしょ?だったら味なんか二の次よ
美味くても心のこもってないチョコなんかただの義理チョコじゃん。」
「きみちゃん、それはちょっと言いすぎだと思います。」
「ほほう、流石彼氏のいる子は言うことが違うねえ。」
あ、きみちゃんの目が少し細くなりました。機嫌を害してしまったようです。
「ご、ごめんなさい。」
「謝る必要なんか無いよ。ま、一杯頑張ってしんに”美味い”って言わせてやれ!」
’パン!’
きみちゃんに急に私の肩を叩くと踵を返して帰って行きます。
流石きみちゃん、男勝りです。言ったら酷い目に遭うので言えませんが…。
「あ、そうそうあたしは少し苦めがいいと思うよ。」
別れ際にきみちゃんからアドバイス。
「そうですね。」
私はちょっと微笑んでしまいました。
幼なじみっていいですね。
では、私も頑張ってしん君への心のこもった美味しいチョコを作りたいと思います。
優しい甘さが入ったスイートビターなチョコレートを。
〜Fin〜