第七話〜「さくら」〜
 
 
 
 
 
「先輩っ!」
ゆっくりと開いたバスの扉から彼女が元気よく僕に飛び込んでくる。
僕は彼女を受け止めるとあの時を思い出し、思わず苦笑を漏らした。
 
「ちょっとは変わったかと思ってたら何も変わってないね君は。」
 
「だってあれからまだ三ヶ月しかたってないんですよ。
そんなにすぐに変わる訳無いじゃないですか。」
 
そう、この子はつきあい始めた頃からこんな子だった。
いつも元気で僕を引っ張り回す。でも、同時に僕に甘えてくる
そんな不思議な感じが僕を暖かい気分にさせてくれた。
 
でも、その楽しい時も僕が離れた大学に入り会える時間が減ってしまった。
会えない時に会えないもどかしさが僕たちを包み始めた時、
彼女は僕に宣言した。
「必ず先輩と同じ大学に入ります!」
僕はその言葉に驚くと共に彼女の気持ちがこんなに暖かい物だと思えて
無言で頷いた。
 
そして、今日。
彼女は約束通り僕と同じ大学に通う。
以前と変わらない暖かい時を育みあうために。
 
 
「桜、綺麗ですね。」
「うん、綺麗だね。」
 
正門から少し入ったところにある桜の下で僕たちはお互いに見つめ合う。
緩やかな風が僕達を纏うように流れ、桜の花びらが舞うように踊る。
彼女は僕を一度見つめると最高の笑顔で宣言した。
 
 
「先輩。今までも、これからも、ずっと一緒ですよ!!!」
 
 
 
「ああ。」
 
 
 
〜Fin〜
 
 
 
SSトップに戻る