2016/09/07-08 「喜多方夢・アート・プロジェクト」 「くさの王国2016-藁ねじねじ会
2016/09/07-08 「Kitakata Dream Art Project」 "Grass Kingdom 2016-"Let's twist straw!"


福島県喜多方市山都町で展開中の「くさの王国」もいよいよ佳境を迎えました。今年のメインイベント「藁ねじねじ会」。昔ながらのおひつ入れ、イジッコ(子供を入れておく容器)、円座、新しくは猫つぐら等を作る技法です。24歳から91歳まで様々な年代と性別の参加者がありました。お馴染みのステキジイたちに加え、ステキバアとの出会いも。

24歳から91歳まで、平均年齢57.1歳。でも40代、50代はゼロ。小道具は喜多方の地元の産物をなるべく使いたい。右手前は雄国の根曲がり竹製籾通し。その向こうは子供を入れておくイジッコ。 最高齢91歳のステキバア。「こういう鍋敷きを編みたいと思い続け、長年の夢がかないました!」と、作品をお仏壇に供えたそうです。サッパカマの断ち方を教えてくれたり、江差追分を唸ってくれたり、お手製のお漬物をくれたり、ばーちゃんらしいところもありながら、ばーちゃんらしからぬ行動力と好奇心にあふれたステキバアです。因みに奥に見える手桶は喜多方の菊地親方に作ってもらったものです。ここにも地元のものへのこだわりが。 前からうわさに聞いていた、アンツォ(にーちゃん、みたいな意味)。編み組のすごい作品をだれに教わるでもなく作ってしまうくせに、人に見せびらかしたりしない、人前にあまり出てこない人だそうで。噂の通り、結構難しい技法なのに、ちょっと説明しただけでつらつらとやってしまう。ここまでやられちゃあ、こちらの立つ瀬がないよー。

 

お昼ご飯は山都の雑穀王子のおにぎり。海苔買うの忘れて急遽庭のエゴマの葉で包みました。返ってこっちの方がよかった。お皿や湯呑みも喜多方の木地と塗りのものをなるべく使いました。お茶は喜多方清水薬草店のハトムギ茶です。

みんなの力作。それぞれの個性が出ていて面白い。ピョンピョンひげが出ているのは編んでいる途中。この状態も造形的に面白いね。

左上写真のイジッコを提供してくれたのはおなじみ山都の名物じいちゃん「ひでじい」。部屋にはお菓子屋カップラーメンがいっぱい。自分はおいしい蕎麦を打つのに、「あたしは蕎麦は嫌いなの」とおっしゃる。何時も誰かしらお客さんが。

山に入る目的はヒロロ採集。ヒロロはスゲの仲間で、編み組によくつかわれる植物です。斜面の木陰など、難しい場所に生えていることが多いのです。立春から二百十日過ぎたら採集解禁。数年前、ひでじいの母屋の二階から出てきた古い蓑を見て、「これを作りたい」と思いました。以来毎年この時期に少しずつ採りに来ています。

山で見つけたきれいなシダ類。茎がまっ黒でつやがあって美しい。ヒデジイに訊いたら「クジャクシダ」。昔、茎をバラバラに切って下に落とし、「サンボンコクゾウパラットセ」と言って子供たちが遊んだそうです。
両面シダ。シマシグサと呼ばれ、トイレットペーパーの役割をしていました。

植物の特訓(?)。ジイに名前を行ってもら言ってもらって写真を撮り、メモする。「池のずっと向こうにある赤い実が見えるでしょ」・・・見えませんっ!手前は秋の七草の一、オミナエシ。

ステキバア、というほどの歳でもないので、ステキオバくらいにしとこう。宿泊場所の近所に住んでるオバチャン。山菜や木の実を採るのが好きで、夏から秋には直売所を営んでいます。旦那はヤマオトコで、草鞋やいじっこなんかも作ったそうです。手仕事が大好きで、「東京の街中で草鞋やさっぱかま履いてあるったらステキでねーの?」と、リベラルなファッションセンスの持ち主なのです。この写真は農作業中に被る頭巾の付け方を見せてもらったところ。色っぽいでしょ。

上記の手桶を作ってくれているのは福島県唯一の桶職、菊地桶店の親方。修理してもらった桶を取りに行ったついでに新しいものを注文。91歳の親方が書き物台にしているのは、桶をひっくっり返した形に作った踏み台。亡き恋女房のためにこさえたとか。ほろり。

 

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