木積の箕

 箕は、穀物の分別に使われる農具で、大豆の様な丸いものを転がしたり、箕先で風を起すことで実と殻を分けます。その他、収穫物を干したり、使い古したものは塵取りや堆肥容れにも使われたとのこと。弥生時代の遺跡からも箕が発掘されており、中国では紀元前1000年にはすでに使われていたと言われています。形や作り方、材料も様々で、塵取り形、円形、ゴザ目編み、アジロ編み、竹、フジ、イタヤカエデ、サルナシ、などがあります。ここで紹介する木積(千葉県匝瑳市)の箕は、塵取り形でゴザ目編み、シノダケ(アズマネザサ)、の皮、孟宗竹を使ったものです。


製作工程概要

シノダケの加工   
シノ伐り  10〜1月頃採集したシノダケを箕の大きさに合わせた長さに切る 
 シノコガシ ハカマを取り除く
 シノサキ→乾燥 4つから6つ割りにする
 ヒゲへゲ 身の側を取り除く
フジの加工   
フジ伐り 11〜2月頃、3-4年ものの真っ直ぐなフジを採集
土に埋める 4月上旬まで土に埋めて置く
フジコガシ 土から取り出し、表面の皮を削りとる
フジタクリ→乾燥 皮と芯を分離する
カラトリ→乾燥 芯の外側を剥ぎ取る(一本から三枚)  
ズリカケ 乾いたウナンカワ(フジの皮)の外側を金属の道具でしごいて平たくする
フジへゲ フジの皮を3-4枚に剥ぐ
フジコサエ  一本のフジ皮を縦方向に2―3枚に裂く  
カラへゲ 乾燥したカラを水に漬け、さらに薄くへぐ
モウソウチクの加工   
竹伐り 11月頃、直径10〜15pくらいで3年生くらいのものを伐る  
竹割り→乾燥 16等分くらいに割る


板箕づくり 
ヒゲ洗い ヒゲを転がし、角と汚れを取る 
ユミハリ 竹尺にフジ皮を二本張る
ヒゲ通し 張った二本のフジの間にヒゲを通す
板箕コサエ 木太刀と刃物でヒゲの間にフジ皮を織り込む
アクド編み アクド(立ち上がり部分)を編む
板箕出来上がり  
仕立て   
腕木をはめる  内竹と外竹の間に板箕を挟む
腕木をからげる ヒゲを倒しながらカラでからげていく
腕木の先の始末  ヒゲを折り返して先の方を包み込むみ、巻く。
完成