少しずつ 少しずつ(2018.6.18)


 早朝にもかかわらず、釣り仲間と楽しく海(港)まで
車で出かけて行き、ゆったりと釣りに興じるのは実に楽しい。

いざ天草の港へ着くと、細く長く突き出た防波堤の内側に、ボートは係留してある。


【 防波堤に係留してある “徳成丸”(右) 】

70mほど突き出た防波堤の、真ん中よりやや先の方に
係留してあるボートが我が “徳成丸” である。
釣竿やクーラーを抱えて、係留場所まで歩いて行くのだが、
ポツポツと櫛の歯が欠けるように、
 「あ、ここに係留してあった船外機付きのボートも、おらんごとなったねぇ、、、」
と、係留してあったボートが、消えていくのを感じる。
多分、船主が高齢化のためにボートを売ったか、船を降りたためであろう。

時の経過とともに、同じ堤防に係留してあるボートの数が少なくなっていく。
少しずつ、少しずつ、、、
確実に時は流れているのである。



話しは変わるが、毎朝家内と一緒に、愛犬 “はな” を連れて、
近くにある “白川 河川敷” まで散歩に出る。
途中に、軽ワゴン車が止めてある家の前を通る。
その軽ワゴンには、釣竿をはじめとした釣り道具が
まるで “釣り専用車” といわんばかりに積んである。
私より若干年配の御仁が、たまに夕方、釣りから帰って
来られる姿を目にしていた。
 「どこまで行かれたですか、何か釣れましたか?」 と、
声をかけようと思った事はあるが、知らない人なので、
声をかけた事はなかった。

ところが、ここ3ヶ月ほど、そのお宅に止めてあった
釣り専用と思われる軽ワゴンを見なくなった。
ところが先日、もう1台ある乗用車から奥様が降りてこられるのを見た。
そして、助手席から釣り好きだった御仁が降りて来られた。
その手は、奥様の肩に置かれていた。
もう奥様の肩に手をかけないと、歩くことさえままならぬ
という状況が見て取れた。

ああ、この御仁はもう釣りにも行けなくなったんだぁ、、、、
あの軽ワゴン車も、処分されたんだろうなぁ、、、と感じた。
少しずつ、少しずつ確実に時は流れていくんだ、、、そう感じた。


さらに話しは変わるが、
先日、娘に女の赤ちゃんが生まれた。 私にも初孫ができたのである。


【 ちーちゃん 】

もう7ヶ月になろうとしていて、爺の欲目だろうがとてもかわいい。
娘の家は近くでもあり、ほぼ毎日孫を連れて我が家へやってくる。
テーブルの前に座った私の膝に乗せ、テーブルに並べた
いろんなオモチャでもって遊ばせる。
例えばガラガラを、「ほら、こうやって持ってごらん、、」とか言って、
手に握らせようとするが、掴んだと思ったらすぐ離したり、はたいたりで、
当然、まだまだ普通に物を掴んだり、持ち変えたり、こねくりまわして遊んだり、
というところまではいかない。
毎日、毎日、我が家へやって来ては、爺や婆に抱っこされながら、
少しずつ、少しずつ、物の掴み方、さわり方、遊び方などを
学習して行くのだろう。

そんな可愛い孫の成長を、少しずつ少しずつ
目を細めて見届けながら、
私らは、少しずつ、少しずつ老いて行く。
最近、階下へ降りる階段も一歩一歩、
足をそろえて降りるようになった自分を感じて、ハッとした。

少しずつ、少しずつ、、、、、、、
時は確実に過ぎて行く。
しかし、あせる事はない。
ゆっくりとした時を、ゆっくり大切にして行こう。


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