具には、薬師瑠璃光如来といい、手には薬の入った壺を持つため大 醫王如来とも呼ばれ、十二神将を眷属として従える。現世利益の意味 合いが強い十二の大願を持つため、身近な御利益を頂戴したいという 衆生の心をとらえ、お薬師さんと親しみを込めた仏様として古くから 信仰を集めていたていた。 第一願 我れ来世に菩提を得ん時、自身の光明熾然として無量の世界 を照曜し、三十二相八十種好を以て荘厳となし、一切の衆生をして亦 我れと異ならしめん。 第二願 我が身瑠璃の如く、内外清浄にして瑕垢なく、光明日月に過 ぎ、人をして昏暗の中にも方所を知り事業を作さしめん。 第三願 智慧方便を以て衆生をして受用無盡ならしめん。 第四願 異道を行ずる者をして菩薩道に安立せしめ、二乗の道を行ず る者をして大乗に安立せしめん。 第五願 我が法の中に梵行を修する者をして一切皆戒を缺減せざらし めん。 第六願 諸根不具聾盲跛躄白癩顛狂乃至種種の身病ある者、我が名を 聞かば皆諸根具足し、身分成満することを得しめん。 第七願 諸患逼切して護なく依なく、一切の資生医薬を遠離する者、 我が名を聞かば衆患悉く除かん。 第八願 若し女人ありて女形を捨てんと願ふ者、我が名を聞かば丈夫 の相を成ぜん。 第九願 衆生をして魔網を解脱し、正見に安立せしめん。 第十願 王法に繋縛せられ、無量の災難煎迫するも、我が福力を以て 皆苦悩を解脱せしめん。 第十一願 飢に迫られて諸の悪業を作す者あらば、我れ香味の食を以 て其の身を飽足せしめん。 第十二願 貧にして衣服なき者は、我れ当に彼れに所用の衣服の至荘 厳の具を施すべし。
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