7.弘法大師



弘法大師廻國之御尊像
 


 二十一日は弘法大師様の御縁日である。三月二十一日は正御影供と
いい、弘法大師様の祥月のご命日である。それ以外を月並御影供とい
う。毎月この日は朝からひっきりなしに信者が訪れ、蝋燭の明かりと
線香の煙が絶え間なくのぼり、受ける信仰の深さを窺わせる。この像
は大正十四年六月二十一日に第三十六世智猛和尚により再建されたも
ので、翌十五年には、五重塔の大がかりな修理を行う為、その工事の
無魔成就をも心願として建立された。
 弘法大師像脇には、天保五年(一八三四)、昭和九年(一九三
四)、昭和五十九年(一九八四)の御御遠忌(五十年ごと)の記念碑
が建立されている。天保五年の碑には次の文字が刻まれている。

 『最勝院二十八世院家寛剛』 『百澤寺二十五世法印堯寛』
 『心應院七世明傳房快英』

 寛剛和尚は百澤寺二十六世住職をし、その後天保五年春に最勝院へ
住職として迎えられており、その時には堯寛和尚は西福坊を建立して
そこへ隠居している。わざわざ時を遡って二代前の百澤寺住職の名前
で印刻するのには、何か思い入れがあったのかも知れない。



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