青面金剛は庚申会(信仰)の本尊とされる。庚申信仰は、もともと 中国の道教の教えより来たものである。それによると、人の体の中に は三尸蟲(上尸清姑、中尸白姑、下尸血姑)という虫が三匹住んでい るという。上尸蟲は人の頭に住み、目を悪くし、顔の皺をつくり、髪 の毛を白くするという。中尸蟲は腸の中に住み、五臓六腑を害し飲食 を好ませるという。下尸蟲は足に住み、精を悩ますとされる。更にこ の三尸蟲は、六十日に一回訪れる庚申の日の夜、宿主の就寝の間に体 を抜け出し、天帝にその人間の悪行を報告するという。天帝は司命道 人に命じて、その人間の罪科に応じて命を縮めるという。大なる罪に は紀を奪い、少なる罪には算を奪うという。算は三日、紀は三百日で ある。紀を失い、算が無くなったとき、その人間の命は尽きるという のである。そのため、庚申の夜には、三尸蟲の昇天を阻むため、念仏 行道や詠歌や物語等庚申会の行事を、夜を徹して行う。また、一年間 に七返庚申が訪れる年を七庚申の年といい特別に塚や石塔を建立し、 盛大に庚申会を行った。 青面金剛が庚申待の本尊とされるのは、青面金剛が傳尸病を除く尊 として信仰を受けていたことに由来するという。 当院には、尊像二体の外に絵巻物や庚申堂、多数の庚申待の塔や塚 が現存し、江戸時代には非常に盛行したことを示している。
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