ケース 藤花さん
加筆訂正 2024年05月05日 2022年11月01日 2020年09月03日
公開 2019年06月23日
今から35年から45年以前は、脳性麻痺となった子どもを療育施設に修養して、1年から数年に渡り療育指導を継続して施していました。
藤花さんは療育施設での療育指導も受け、最寄りの肢体不自由養護学校に通い、人生に与えられた現実をやもう得ない状況として受け入れていました。
藤花さんは、子どもとは異なり、変化は乏しく、加筆訂正することは少ないかも知れませんが、変化が有れば書き込んで参ります。
今は幼い子どもであっても、いずれは成人となります。その時をイメージされて見ていただければ幸いです。
☆ 私と知り合うまでの経過は・・
養護学校の高等部2年の時、突然身体に痛みが起こり、学校の先生などに相談したが「成長痛なのでは?」としてその時は終えました。
学校も卒業し、身体の痛みとは戦いながらも自活を目指して、あらゆる努力を積み重ねました。
地方の県の福祉では、自活が難しいことがわかり都に転居して、自活を開始しました。
都が地方の県よりも福祉が良いと言っても、やはりそこには大きな山や河や谷となる壁が存在して、都内での自活に至るまでにも苦労が度重なりました。
やっとの思いでアパートに入居することができ、24時間体制での介護を求めるためには、自らの力でボランティアを捜し、介護を委ねなければなりませんでした。
出身地は都に隣接しており、出身地の大学生(看護学部・教育学部)の生徒さんたちに、介護をお願いする為の毎年年度初めの依頼キャンペーンを大学のキャンパスで行いました。
福祉も少しずつ改善され、24時間の介護中で、土日祭日を除く8時間が、公のサービスとして提供されるようになり、未だ24時間の介護は認められないでいるのです。
そんな生活の中・・
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∞ LS-CC松葉杖訓練を開始→32歳5ヶ月
私(筆者)が療育施設に勤務をしていた時、患者さんとして私の担当となりました。
頚部・肩甲部・腰部の疼痛を訴えての受診で、疼痛を減少、無くすことを目的に治療が開始されました。
疼痛の原因が何なのか? 私は次のように考えたのです。
異常な筋緊張が継続するために、筋内の血流が滞り、この血流の為に酸素不足や代謝産物の蓄積を招き、負荷をかけた部分が凝ったように硬くなって、更に血流を滞らせる事となります。この血流の悪化が、疼痛の原因と考えました。
→ 治療内容は↓
頚部・肩甲部・腰部の温熱療法、全身のリラックスゼーションとストレッチを施すこととしました。
→ 訓練開始1ヶ月
全身の痛みが軽減しているようだが、痛みが無くなるような兆候を診ることができない。
介護者が腰痛とならないために、背筋と腹筋の強化指導を行う。腰に負担をかけないためには、背筋と腹筋を同時に使用する習慣をつけるように伝える。
→訓練開始2ヶ月
全身が痛いが、特に右側が痛いとのこと。
その原因を考えて、右手で電動車椅子の操作を行い、操作を行うのに全身に力を入れて操作しているので、できるだけ右手のみで操作する様にして、全身で操作しないように伝える。
→ 訓練開始8ヶ月
温熱療法を温浴に換える。
温浴の方が、身体が和らぎ、痛みも減るもよう。
→ 訓練開始1年9ヶ月
担当整形外科医から、セラピストを同性にしたのが良いと考えるので、担当を変えると伝えられる。(実は医師からの伝えは事実でなく、本人の希望だったようなのです。)
→ 訓練停止後5年10ヶ月 (訓練再開)
右半身が特に痛いと訴える。
訓練停止以前の治療を再開する。
→ 再開後1ヶ月
全身の痛みが軽減しているとのこと。
特に痛かった右半身も、痛みが軽減しているとのこと。
→ 再開後3ヶ月
治療に当たっていて、全身の異常な筋緊張が軽減する事を手の触覚としてとらえられる。
筋の固まりが、和らいでいく…
→ 再開後1年2ヶ月
痛みのために腹臥位ができなかったが、少しの時間であれば腹臥位ができる様になる。
→ 再開後1年6ヶ月
訓練を中止していた間の治療法について、話題が上がるようになり、それをまとめた物が下記です。
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▲▲▲ 担当変更後の様々な様子は
担当の整形外科医師との相談にて私の痛みから逃れたいという強い要望により、治療開始。
・ 痛み止め:トリガーポイント局所注射、ノイロトロピン静注を週1〜3回
・ 投薬
ノイロトロピン:痛み止:1回2錠食後と寝る前
ダントリウム:筋弛緩剤:1回3錠毎食後→効かなければテルネリンを追加。それでも痛み激しい時はホリゾン5ミリを追加。
→ 変更後3ヶ月
心意的なものとも判断をされていたので、療育施設の精神科医師から精神安定剤数種類とカウンセリング。
→ 変更後約1年
近所の精神科も受診。カウンセリング等の助言を受ける。
※ これら全ては、痛みを軽減する方法を見付けるための治療として行われていました。
→ 変更後2年
療育施設の主治医の転勤により、A医療センターペインクリニック科通院。主治医も同じ治療も療育施設と同様。
→ 変更後2年から5年の年末まで
3・4ヶ月に1回、全身の異常筋緊張の強い所へ30〜40箇所にボツリヌス菌筋肉注射
→ 変更後2年2ヶ月
A医療センターでの治療に加えて、B病院ペインクリニック科にて、神経ブロック注射。首・肩・背中・腰に週2回投与。更に時には星状神経節ブロック注射。
→ 変更後5年
主治医が療育施設に戻る。治療同様。
→ 変更後5年の年末
主治医が変更後6年で療育施設を退職することとなり、主治医の紹介により痛み止めの注射が本格的にできる病院としてC病院を受診。ペインクリニック科にて。首・肩・腰・背中・足へのレントゲン透視を使った神経根ブロック注射。
→ 変更した時から6年後まで
リハビリは、月1回か2回、1回あたり所要時間20分(車椅子に乗せ降ろし含め)、なでさする程度の内容で姿勢を変えるに過ぎないリハビリ。
→ 担当変更で、私(筆者)に戻るきっかけは…
結果として、痛みは増すばかりで薬によって眠らされている状態。ほとんど毎日通院で、通院後は日常できる事が何も出来なくなる。
体の一部のみ力が抜けてしまうため、食事動作・電動車椅子操作できない。気力なく、意識もうろうとしている。
24時間介助者に薬を求め、内臓が荒れ、嘔吐を繰り返す状態。このままでは介助者が日常を支えていくのは無理ではないか、と議論されていました。介助者の助けを借りての一人暮らしが破綻寸前でした。
藁をもすがる思いでLS-CC松葉杖訓練法に相談。
全ての薬、注射を絶つと同時にLS-CC松葉杖訓練法のストレッチを再開。
薬や注射を「痛みから逃れるために必要なもの」と思い込み、周りに求め続けたのは自らの行動でした。
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→ 再開後から現在まで
この間、筋の異常緊張によって血流が滞ることを和らげるために、全身のストレッチと筋のマッサージを施してきました。
時にはとても改善し、時には痛みと戦う日々が繰り返されていたようです。
鍼治療や訪問リハビリも試みましたが、長くて1年、短ければ半年も試みることができませんでした。それは痛みが減少するどころか、痛みを増すために受けるように感じたようなのです。
脳性麻痺は特有の疾患です。鍼治療を行った者も訪問リハを行った者も、脳性麻痺についての知識が無く、その点が大いに問題だったのでは…
電動車椅子を新しく造り直す予定となったようです!
藤花さんが操作するのではなく、介護者が操作できるようにコントローラーを着ける箇所の検討を願うところです。
活動的な藤花さん、車椅子が無ければ外にも出られない。簡易な手押し車椅子では、藤花さんのトイレ介助などには二人から三人の手が必要だが、藤花さんの外出時に2から3人の介護者を派遣することが困難。2から3人の介護者の変わりを果たすのが、電動リフトを車椅子に着けること。外出時のトイレ介助も容易となり…
藤花さんが自ら電動車椅子を操作しないことで、筋の異常緊張が減少するのではないか? 血流が滞らなければ痛みが軽減するのでは?
藤花さんが言われます・・! 「痛みは仕方ない物とあきらめていたが、ストレッチやマッサージによって痛みが減り、時には全く痛みが無い生活が送ることができる事実が有ることを知りました。この事実を知っただけでも、生涯の感謝です。」
→ コロナの影響を受けて・・・
コロナの影響で会うことができていなかったが、4カ月ぶりに合うことができた!
全身が固く固まり、全身に疼痛があると訴えている。
治療を施しても固まった身体が和らぎ、痛みが軽減してこない。
・ コロナの影響で会えずに、久しぶりに会ってから6回の治療を行うことができた。
あちこち痛がっているが、全体的には痛みが軽減しているのか?
・ ストレッチを施しても痛みから逃れるのはほんの数日。治療とするストレッチを施したくても痛みを訴えて…
全身の痛みはストレッチ後には少し和らぐが、動かされる事に痛みを訴えるので、ストレッチ前にフェルビナクスチック軟膏を全身にぬる事によって、動かされても痛みが軽減する事を知り、ストレッチが施しやすくなった。
軟膏の効き目が弱くならなければ良いのだが…
・ 痛みが強くなったり、和らいで過ごしやすい日もあったり、常に和らいでいる事が無いようなので、週に1回の治療をするように努力する事とした。
・ 週に1回の治療を重ねる事で、痛みが無くなるわけではないが、どちらかと言えば和らいている感じが得られているようなので、このまま継続する。
・・・・ 現在に至る
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◎ 指導する者からの期待と希望
脳性麻痺で緊張性アテトーゼ型と呼ばれるタイプ、まさしく二次障害に悩む方です。
藤花さんの悩みは全身の疼痛。診察する医師の見解は「心意的なもの、鬱病が一つの要因では…」と・・・
LS-CC松葉杖訓練法のストレッチが効果的なのか? それとも私の施術が良いのか? 私との接触が良いのか(心意的)?
藤花さんの治療が、痛みを発した高校時代から行われていたならば、もっと軽度の状態で痛みを抑えられていたのかも知れません。
また、電動車椅子の操作に当たり、右手の指先で行うことが指導できていたならば、痛みの発生も少なかったかも知れません。
二次障害に対しての対応が遅れている医療現場、脳性麻痺の治療法を熟知したセラピストによって、脳性麻痺の二次障害に対して施術して欲しいです。
ベット生活に追いやらずに、今の生活が維持できるように治療法を考えて欲しいです。
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製作 LS-CC松葉杖訓練法 湯澤廣美