翔星君の場合
 
 公開 2021年08月14日
 翔星君程に、現在の療育界の治療成果を表しているケースは無いのでは…
 6歳8か月(小1)からこの訓練を開始して・・・

☆ 生育歴
 陣痛が妊娠39週6日に始まり、血圧が急に高くなり緊急帝王切開。トラブルは有りませんでした。出生体重2566g。
 6カ月乳児検診で、発育が遅れていると言われ大学病院で詳しい診察を受けるように言われ、いろんな検査を受けましたが原因らしき兆候は見つかりませんでした。そして運動発達遅延・軽度てんかん・低緊張型脳性麻痺の診断となりました。
 4カ月で寝返り開始。
 8カ月から運動療法開始。開始時点で、首がすわる。
 自分で床に座るようになったのが1歳半頃です。
 2歳5カ月で両側停留精巣手術を受けました。
 3歳7カ月の時に2カ月の母子入園を行う。入園中に立位・大腿部を支えて歩行・片手繋ぎ歩行等を行う。
 5歳頃に変形四つ這い(バギーホッピング)を始めました。
 未だ掴まり立ちはできません。
 このLS-CC松葉杖訓練法を知り、「LSでの立位練習をさせて欲しい」と通っていた通園に頼んだが、「レベルが高すぎるからまだまだ、無理な事です」と言われました。
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∞ LS-CC松葉杖訓練を開始→6歳8か月
 お父さんやお母さんの言う事も聞かずに、バギーホッピングで動いている。
 こちらからの支持は入らないのか?
 マットに横たえても、寝返りで逃げ出そうとする。手足を動かして抵抗らしき行為を続ける。その行為中に、自傷行為として頭をこぶしで叩いている。
 立たせても立つ事はできない。
 初診としてのチェックが正しくほとんどできない。
※ 手を繋いで歩くような動きをしているが、子どもが歩いているように見えるが、重心は後方にあり歩いているのではなく引かれて歩いていると考えた。この手繋ぎの歩き方を止めるように伝える。
 ブーツ型の装具を履いているが、外反扁平足の改善ができていないので、貸し出す事のできる装具を捜す。
→ 1週間後
 マット上に横たえての訓練やチェックは、拒否する態度が著しくできない。
 簡単な全身のストレッチ。
 床から何も掴まらないで立ち上がる練習を試みた。できるならば保護者も試みて欲しいと頼む。
 歩行器と下肢装具を貸し出す。
 下肢装具を履いて、歩行器での歩行を練習とする。
→ 5週間後
 マット上での支持が少し入るようになる!
 床から何も掴まらずに立ち上がる練習で、時たまうまく行く事がある。
 立ち上がりがうまく行って立てた時、私は骨盤を介助しているが、子どもは歩くように足を前に運んでしまう。立位や歩行でバランスが崩れた時に倒れると言う事を知らない。
→ 2か月後
 歩行器歩行練習で、良く歩くようになっている!
 歩行器を使って歩く練習をしていて、左足部に水泡をつくる。下肢装具と足の間で、歩行中に擦れてできたのでは…
 歩行器を一人で握り、物に突き当たるまで一人で歩いている! 歩く事が好きな様子…
→ 3カ月後
 コロナの影響で3週刊ほど訓練会が無かった。
 訓練会が無かった事が原因なのか、床からの立ち上がり・立位保持が悪くなっている。
 LSを貸し出す。LS2度
→ 5カ月後
 持ち込み立位から20から30mの独歩を行う!
独歩が不安定なので、片手介助での独歩練習に入る。
→→ その1週間後
 片手介助歩行から、独歩練習に変えた。歩容も良くなり歩行が安定したから…
→ 7カ月後
 床から一人で立つ事はできないが、立たせてあげればSLB着用で良く歩くようになる!
 家庭内では素足で歩いているとの事。
 多動で介助者がコントロールできない事になると怖いので、 「マトモ」 の指導をしっかりと行いたい。
 階段昇り練習に入る。
 今までチャレンジしたが、手で手すりを持つ事を拒み練習ができなかった。
 左手で手すりを少し持つようになったので、左手すりでの昇り練習を開始。
→→ 1週間後
 左手で手すりを少し持つようになったので、左手すりでの昇り練習を開始。先週の事だったのに…
 今週は右手でも手すりを持つようになり、階段の昇り練習に入る。
→ 8カ月後
 階段の昇りは、左右共に手すり使用と片手介助で、一段ずつが可能となる!
 屋外歩行は安全な所は自由に、安全が確保できない所は片手介助で、独歩を数百メートル可能となる!
→ 1年後
 どんな物も利用して掴まり立ちを行い、独歩を行うようになる! 素足でも装具着用でも同じ。
→ 1年3カ月半後
 ほぼ卒業!
 お父さんと階段昇降や歩行を行い、練習は訓練としてでなくお父さんとの関りで充分に行われると判断した。
 何らかの課題が出た時に、再び訓練計画に入れる事にして、問題が無ければ月1回から3回の訓練予定に変更。
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◎ これまでの経過を振り返って・・・
保護者の感想
 訓練会に参加したばかりの頃は逃げ回っていてどうなる事かと思いましたが、回を重ねるごとに先生の指導を受け入れていきました。
 この訓練に出会うまでは、歩行器すらほとんど使用した事がなく後ろからの介助歩行ばかり。先生の指導は今までやってきた事とは全く違う訓練法でしたが、きちんと何故それではダメなのかを説明していただき理解できた事が大きかったと思います。今までの考え方を1度捨てて、とにかく先生の指導法を信じ毎日継続して家で実践してきた事が、ここまで早い成長に繋がったと思います。
指導者の感想。
 翔星君が訓練を拒否したり、自傷行為がひどくなり、訓練の継続が難しいのではないかと考えていたが、思うよりも慣れる事が早かったです。
 歩行器歩行が少しできるようになり、歩く事をこれ程喜ぶ子どもも珍しいのかも…
 持ち込み立位からの独歩が始まったが、床からの立ち上がりが可能となるのかわからないので、独歩ができても実用となるのか?
 ご両親が子どもと共に努力した結果がここにあります。
 外出時に一人で行動するとは考えにくく、今の独歩の能力でも可能と考えました。これからの応用歩行の能力は、親子して努力するのが成果が早いのでは…
 外反扁平足のチェックだけは、下肢装具のチェックと共に今後も必要です。


@ さんぽ道2
 
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 製作 LS-CC松葉杖訓練法 湯澤廣美