繭子チャンの場合
 
 公開 2019年03月04日
 PVLによる運動機能障害
 7歳1か月時からのLS-CC松葉杖訓練での取り組み
☆ 生育歴
 32週3日で出産。体重1811g。
 前期破水で切迫早産。生後1ヶ月でPVLと診断を受けました。
 首がすわったのが・・4ヶ月。
 寝返りを始めたのが・・7ヶ月。
 1歳で訓練開始。
 自分でお座りを始めたのが・・1歳6ヶ月頃。
 四つ這い移動を始めたのが・・2歳3ヶ月頃。
 SRC歩行器での練習が3歳頃から始まりました。その後は、PCWでの練習となり現在に至っています。
 5歳時、股・膝・足関節の筋解離術を受ける。その3ヶ月後に、股関節形成不全を改善するための手術を受ける。入院期間は合わせて6ヶ月。
↓・↓・↓・
∞ LS-CC松葉杖訓練を開始→7歳1か月
 臥位から座位まで問題なし。四つ這い可能。
 立った際に、重心が後方となって足だけを運ぼうとする。
 関節可動域は、膝が伸びにくく、足部が右は内反・左は外反で、左右共に尖足位。
 全身のストレッチ・床からの立ち上がり・松葉杖歩行を指導内容とする。
 SLBと松葉杖を貸し出す。
 松葉杖歩行ができそうでできない。用意した松葉杖が短いのか?
 身長が120cmとの連絡だったので、その身長に合わせて松葉杖を用意したが、松葉杖が少し短いようである。
※ 何故に、この子が独歩ができないでいるのか?
→ 2週間後
 すたびらいざを貸し出す。
 スタビライザに入った当初は、立つことが怖いのか子どもの前に机が必要。慣れればLS3度となる。
 適当な長さの松葉杖に交換したところ、松葉進度4となる。約10m程を歩く。
→ 1ヶ月後
 松葉杖歩行で30m程歩くようになる。
 下肢筋が疲れるようで、休みながら30mの距離を繰り返し行う。
→ 1ヶ月2週間後
 松葉杖歩行が安定し、スピードも出てきている。
 階段昇降の昇り練習にはいる。
 下肢の伸筋が弱いだけでなく、股関節を曲げることが苦手なようで、階段の昇りに苦しんでいる様子。
→ 1ヶ月3週間後
 立位バランスが少し良くなってきたのか?
 松葉杖歩行で、100m程歩くようになる。
 階段の昇りがうまくなってきている。
 階段の降りの練習に入る。
→ 2ヶ月後
 階段の昇りがうまくなっている。昇り方を、足を交互に上の段にあげるように変える。
→ 4ヶ月後
 股関節の屈伸筋には筋力がついてきているのに、股関節の外転と内転筋の筋力がついてこない。何故なのだろうか?
 立脚時に体幹を支持できず、遊脚側の反対側に大患を倒し、分回しで足を運ぼうとしている。
→ 5ヶ月後
 独歩の練習ができそう!
 外回しでの足の運びは、左は改善しているが、右は改善が見えない。
 立位バランスが良くなっている。
→ 7ヶ月後
 床からの立ち上がりが、一人でできるようになる。3回に1回の失敗はあるが…
 独歩練習ができた! 2歩ほど歩き立ち止まるのを止めて、交互に足を出し続けるように指導する。
→ 8ヶ月後
 床から一人で立ち上がり、数歩の独歩を行うようになる!
 2回に1回の成功があるかも疑問だが…
→→ その2週間後
 独歩がへたになっている?
 独歩練習で、重心が後方にあってもそのままで練習をしていたと思えます。介護していなければ倒れていたのに、倒れない練習をしていた結果では…?
 松葉杖歩行を重視しての訓練に戻す。
※ 何故へたになったのか? 独歩の介助法が適切でなかったために、訓練以前のように重心が後方となる誤学習の結果が治りきっていなかったのでは…
 誤学習の訂正は、難しいです。運動療法を受けながらも、治療成果が得られるのではなく誤学習では…?
→ 8か月半後
 また床からの立ち上がりがうまくなっている! なぜなのかな?
 独歩練習もうまくできた!
→ 10カ月後
 床から立ち上がり、数mの独歩を行う!
 バランスを崩すことも多く、5m程度が最高なのか?
→→ その1週間後
 独歩の距離が伸びている!
 独歩の様に何も捕まる物が無いと、「怖い」の感覚が有るようで、怖さがとれればもっと独歩ができるのでは…
→ 11カ月後
 床から一人で立ち上がり、独歩を行うようになる!
 歩行は左足が支持する際に、体幹を左に大きく揺らすために、歩く時の姿勢として左右に大きく身体が揺れる。
→ 1年後
 床から立ち上がり、独歩の距離が伸びている! 40m前後可能か?
 歩く姿勢は左右に身体が揺れる。爪先があまり床から上がらない。
 後ろ歩き(バック)の練習に入る。
→ 1年1カ月後
 床から立ち上がり独歩を行うが、時に立っている事を忘れてしまうのか? あるいはバランスが崩れるのか? 後方に柱が倒れるように倒れる。
 PCWではその姿勢では倒れなかった・・? そんな習慣がまだ残っているのでは…?
→ 1年3か月後
 コロナウイルスの影響で、訓練の内容を直接に保護者と子どもに指導する事ができていませんが、今までの経過とメールを使っての指導で子どもは変わっています!
 メールでの連絡・・↓
 床から一人で立ち上がり、やっと50mを歩くようになりました。時間は3分ほどかかるでしょうか。
 歩く姿勢があまり改善できていません。左右に身体が動き、膝が上がりません。
※ PCWと呼ばれる歩行器で、歩行練習を長いこと行っていた。
 PCWを使っての歩行では、左右と後方に倒れる事が無い。
 片足を踏ん張って他の足を上げる経験ができていない。足を踏ん張る代わりに、PCWを下に押しつける手の反作用で、足を上げていたのでは?
 誤学習の訂正には時間がかかります。訂正できない事もあります。
→ 1年5カ月後
 コロナの影響で会うことができていませんでしたが、久しぶりにお会いしました。
 松葉杖での歩行、独歩のできる距離、いずれも多少は伸びているが大きな変化とは言えないのでは? 立位や歩行の際の恐怖がこの妨げの原因なのでは?
 独歩を目標とせずに、ロクストランドクラッチでの実用歩行を目標に変える事を考慮に入れて指導を継続する。期間は残り1年半ほどか?
※ 同じように松葉杖歩行が短期間で可能となったのに、実用の独歩を得られなかった 子どもがいます
→ 1年6カ月後
 保護者の希望として、「もう少しの間は独歩を目標として親子して頑張りたい」とあるので、ロクストランドクラッチ歩行の練習は先送りとなる。
→ 2年8カ月後
 コロナの影響で半年ぶりに合えた!
 この間メールでの交流は有ったが、下記の様な変化となっていた。
 松葉杖歩行からロクストランドクラッチ歩行に変え、ほぼ四点支持二点歩行となっている!
 ロクストランドクラッチを両手に持ったままで、階段昇降の練習に入る。手すりを持つ側のクラッチを手から外し、前腕にクラッチをぶら下げた状態で昇降する。どうにか獲得できそう。
 外反扁平は改善されていない。歩行で痛みが出なければ良いのだが・・
→ 2年11カ月後
 床から立ち上がり、屋内では80m程を独歩できるようになったが、応用歩行に結びつくのか? 屋内で独歩ができる事はとても良い事なのだが…
→ 3年4か月後
 床から一人で立ち上がる事もでき、独歩もできるようになったが、杖歩行も独歩も実用的ではない。屋外を一人で自由に歩かせられる程にはなっていない。
 訓練のための訓練であって、訓練が日常生活を変える様に親子共に考えられないようである。この原因が何処に有るのか?
→ 5年後
学校の行事としてスキー教室があるようで、まずは家族でスキー練習をしたとの事。スキーを履いて一人で介助によって滑る事ができたとの事!
→ 5年1カ月後
 学校行事のスキー教室が有り、家族と共に滑ったのと同じように、滑る事ができたととても喜んでいました!
↓・↓・↓・
◎ これまでの経過を振り返って・・・
保護者の感想
 いただいたならば公表させていただきます。
指導者の感想。
 繭子ちゃんが独歩に至ることができるのだろうか?
 私は独歩に繭子ちゃんが至ると考え、訓練を始めてみました。
 股関節の形成不全があったとしても、手術が必要だったのだろうか?
・ 訓練開始1ヶ月、順調な変化を遂げています。何時になれば独歩を始めるのか?
・ 訓練開始7ヶ月→独歩に至るかも知れない兆候が現れて・・!
・ 訓練開始8か月2週刊・・・
 独歩練習で躓いてしまった。訂正がうまく進むと良いのだが…
・ 訓練開始10か月・・
 独歩がうまくなってきている!
・ 訓練開始1年を待たずに、独歩ができるようになる!
 過去の訓練指導内容は、誰がどの様に評価するのだろうか?
・ 床から立ち上がり独歩ができるようになっても、後方に倒れてしまう? それも常にではなく、時々・・? 過去の誤指導の訂正に時間を要するモデルなのでは…?
・ 1年3か月の練習結果が、独歩を数メートル行えるようになった時点から、変化が乏しくなっています。独歩という移動手段がどれ程に難しい動きなのか…、理解していただくには良いモデルとなったのでは? (本人と保護者にとっては辛い事でしょうが)
・ 家庭内の独歩は可能となったが、外出時は杖歩行で良いと親子して認めたと思います。
 杖歩行でもって、車椅子生活から別れて愉しい人生が送れるようになれば良いのだが・・
・ スキーの様に楽しく歩行練習ができれば良いのに…

@ さんぽ道2
 
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 製作 LS-CC松葉杖訓練法 湯澤廣美