咲恵ちゃんの場合
 
 公開 2018年12月12日
 知的障害に伴う発達遅滞
 6歳8か月時からのLS-CC松葉杖訓練での取り組み

☆ 生育歴
 在胎39週6日で正常分娩。出生体重3160g。
 3か月検診で、首のすわりが遅く、身体が柔らかいと言われました。
 9か月からPT・ST・OT・摂食指導を開始。
 首がすわったのは・・1歳。
 寝返りを始めたのは・・2歳。
 熱性けいれん(2歳0か月・3歳0か月・4歳1か月)で救急車搬送、点滴治療後帰宅。
 自分で座るようになったのは・・3歳。
 下肢装具を造り、u字型歩行器を使い歩行練習にはいる・・4歳過ぎ。
 胃がパンパンに張り、胃軸捻転と診断を受ける。経鼻カテーテル挿入で吸引し回復して帰宅するが、再発し入退院を繰り返したので、腹腔鏡下の胃の固定手術を決定。
 入院中に、尿の逆流が発見され、開腹下の膀胱逆流防止術を胃と一緒に受ける。
 術後、回復して退院するが胃の張りが再発し、再入院。食事を嫌がり経鼻カテーテルの経管栄養開始。
 入院中に、MRI・脳波・脳血流・眼科検査・遺伝子検査を行ったが、発達遅滞の原因は不明。
 6歳で、いざり這い(尻這い)を自由に行う。
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∞ 6歳8か月に、訓練会に参加されました。
 現症:臥位から座位まで可能。側臥位や仰臥位から起き上がる。えんこ座りとなる。
 いざり這いを行う。
 関節可動域:特に問題なさそう。
 訓練内容:腹臥位からの正座への座り方法・四つ這い位・CCでの手歩き・LS訓練・松葉杖歩行訓練。
 松葉杖を持とうとせずに、手を離してしまう。松葉進度1。
 スタビに立っている姿勢は、柱のようであって、前後左右のバランスは悪い。LS2度。
 クローラーでの手歩きを嫌がる。CC1度。
※ 年齢が高く、運動機能が改善できるか疑問を感じたので、1年間の様子を見てその後のことはその時に判断することとしました。
→ 1か月後
 スタビでの屈伸ができるようになる。LS3度。
 クローラーでの手歩きが少しできる。CC2度。
 松葉杖訓練の時、杖を少し持つようになる。
 特別肢体不自由支援学校入学。
→ 5か月後
 松葉杖歩行を覚えられないようなので、歩行器歩行練習に切り替える。
→ 11か月後
 立位や歩行バランスで、重心が後方に行くことが少なくなった。
→ 1年後
 立位や歩行のバランスが改善されているので、このまま継続しての指導とする。
→ 1年3か月後
 片手を介助しての独歩練習にはいる。
→→ その1週間後
 持ち込み立位から数歩の独歩を行う。
→ 1年4か月後
 持ち込み立位から数bの独歩を行う。
 階段昇降練習に入る。
→ 1年10か月後
 持ち込み立位から数十bの独歩を行う。
→ 3年1か月後
 階段昇降は、あまり上達しないが、平坦な所は良く歩くようになる。
 坂道昇降の練習に入る。
 床からの立ち上がりが、なかなか学べない。
→ 4年6か月後
 お母さんと歩くことが大好きで、手も繋がずに一人で良く歩いている。
 「 マトモ 」の練習を継続している。
 階段の昇降はあまり好きではないが、やらされているがどうにかできるようになってきている。
→ 5年5ヶ月後
 夏休みのお姉ちゃんを追いかけて、2階まで1人で階段を上がったとのこと。
→ 6年3カ月後
 床から一人で立ち上がるようになり、家の中を自由に行きたい所に行っている。
 外反偏平足が著しく、下肢装具内のインソールと触れた箇所が痛がり、歩行の安定を欠いている恐れが有るため、骨に触る手術を受ける事に決まる。1か月後に手術予定。
→ 6年4カ月後
 手術は三関節固定法。ステープルで2箇所固定(外す予定は当分無い)。ピンで3箇所固定(ギプスを外す時に抜く予定)。
 骨を動かした時に出来た隙間は、動かした時に削った骨を利用して埋める。
 下腿三頭筋の筋解離術を追加で受ける。
→ 6年5カ月後
 ギブスを巻き直して退院。
→→ その2週刊後
 ギブスカットを行ない、ギブスシャーレとなる。ピンを抜く。
→ 6年6カ月後(術後2カ月)
 訓練許可が出る。立位可能となる。
 適当な高さの椅子から立ち上がれるが、床からは立ち上がれない。
 両手を介助しての歩行は可能だが、歩行できる距離は数メートル。尻を引くようにして腰が伸びていない。(2カ月の間、立つ事もできなかったのだから、立ったり歩く事が怖かったり、感覚が衰えている事は当然の事。)
 術前の運動機能に戻るために、リハビリテーションの開始。
→ 訓練開始6年7カ月
 自ら一人で床から立ち上がる事はできないが、素足で独歩する事が可能!
 素足でも、足部はきれいに床に着くようになっている!
 下肢装具を着用せずに、インソールの使用だけで独歩するように指導変更。
→→ その2週間後
 腫れも少なくなり、痛みも軽減した様子。
 下肢装具も履かずに済み、軽い足で歩く事ができるのを喜んで、少し動きすぎた模様。下肢装具で足関節の動きは制限されていたが、自由になったために関節に制限の無い可動域が急激に起きた事で、関節炎となったのでは?
 支柱付き下肢装具で歩行を再開。
→ 訓練開始6年8カ月
 屋内などの平坦な所では、支柱付き下肢装具を履いて自由に歩き回っている。
 床から一人ではまだ立ち上がれないが…。
→→ 翌日
 消化器系の原因不明の体調不良となり、お腹はパンパン、尿も便もガスも出ない。
 急遽入院。治療中…
→ 訓練開始6年9カ月
 1カ月の入院で体調を戻し、退院!
→ 訓練開始7年
 退院したが家庭で体調を戻すのに、自由な生活を送っていた。
 久しぶりに診察と訓練に来院。平坦な床などの上では、素足で歩行が可能! 屋外は安全を図りSLB着用で歩く事に等分する事にした。
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◎ これまでの経過を振り返って・・・
 小1年になろうとする年齢から、良く進歩したと想えます。
『お母さんが私宛にくださった便り・・。訓練会入会から4年目になります。』
 当初は、身近にいた知人の男児を見て、母と頑張っていて確実に進化してる姿に、咲恵もお世話になりたいと気持ちが強くなり、男児の母に誘われた時にすぐお会いしたいとお願いしました。
 先生にお会いして、小学1年生になるからどこまでいけるかわからないからとりあえず1年頑張りましょうと言っていただき、訓練が始まりました。
 始まると知らないことばかりで、今まで何してきたんだろうと思うことが多くて、頑張れば変わりそうだと実感し、先生に「もう半年経ったね」とか「もうすぐ1年だねぇ」とか毎回おどかされドキドキしながら頑張ってきて3年過ぎてて4年目。
 手をつないで歩けたら幸せだなんて思っていた最初の頃には、想像出来なかったような進化をとげていて、喜ぶとともにもっともっとと欲張りになる私がいて、毎日頑張っています。
 この先、どこまでいけるか。
 目標としては、歩行の安定(おいでについてきたり、行ってきて戻ってきてが確実に:「 マトモ 」)と、階段を介助なしに上り下りできる事。
 そして1人で立ち上がって座れるように。
 欲張りですが、目標は高く持って、頑張りたいので、末長くよろしくお願いします。←
 歩くようになったお子様は、動くことが好きなのか? 歩けるようになったから動くことが好きになったのか? どちらかわからないが、歩くようになって保護者も指導した私も嬉しいです。
・ 著しい外反偏平足を治すために、骨に触る手術を選んでこれから受けるのだが・・。その結果はどうなるのか?
・ 術後、安定した独歩を獲得できる予測が立てられるようになった。

 
@ さんぽ道 その2
 
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 製作 LS-CC松葉杖訓練法 湯澤廣美