「釜石便り」   2023年 9月

                                              ※写真の無断転載を禁じます。


秋の遠野(9/25)

今日の釜石は時々日差しのある曇りです。
朝晩がめっきり涼しくなり、ようやく秋らしい日になってきた釜石です。

県内ほとんどの所の秋祭りも終わり、残すところ10月の釜石祭りだけになってきました。
今の時期は釜石では撮れるものが少ないので、23日は黄色(黄金色)の田園風景広がる秋の遠野に行ってきました。

大渡の自宅から釜石自動車道を走ると、20数分で遠野上郷の平倉に着く時代になりました。
遠野は釜石と違い、広々とした田園地帯が広がる別世界。
かつてはかやぶき屋根の民家も点在し、日本のふるさとを感じさせる町です。

私が自動車免許を取って車を買ったのが、今から42年前の昭和56年の9月でした。
マツダのファミリアで遠野まではよくドライブしました。
途中の仙人峠は運転初心者にとっては難所で、特に仙人トンネルの中でトラックとすれ違う時が恐怖でした。

父の実家が胆沢の田園地帯だったので、釜石からも近く、同じような景観の遠野にも惹かれました。
しし踊りも好きでよく撮りますが、ずっと心に残る遠野のイメージは、やはりかやぶき屋根の民家です。


青空に秋の雲、黄色の田んぼ、そしてその中に鎮座するかやぶき屋根の荒神神社、遠野で一番好きな中沢の荒神神社です。
この風景、まさに「実りの秋」、「豊年の秋」を感じさせてくれます。
右端には早池峰山も。

昔、夕焼けをバックに荒神神社を撮りに来たことがありましたが、まだ未熟だったので、後ろの山と神社が重なったシルエットとなり、大失敗をしたこともいい思い出です。
フイルム時代だったので、現像が上がるまで、いい写真が撮れたとばかり思っていました。


高清水展望台からは遠野盆地に広がる黄色の田園風景。
田に水を張った春もいいですが、やはり稲が実った秋は色合い的にも好きです。
一番奥に見える集落は水車小屋のある山口集落です。


少し足を伸ばして、火渡(ひわたし)の石碑群です。
黄色の田んぼをバックに石碑群が並んでいます。
青空と白雲、黄色の田んぼ、遠野の秋を感じさせてくれます。
ここは遠野ふるさと村を少し過ぎた道路沿いにあります。


大槌・山田の秋祭り(9/21)

今日の釜石は雨が降っています。
30℃以上もあった気温もようやく落ち着き、少し秋らしい気温になってきました。
18日の日曜日、9月半ばと言うのに、釜石は36.4℃もありました。
この気温、何と全国一の暑さでした。

9月の16日・17日は大槌で、17日・18日は山田で秋祭りがあり、久しぶりに出かけてきました。


9/16は大槌町安渡にある、大槌稲荷神社例大祭の日。
午前中は大槌漁港で曳き船があり、お昼過ぎには13年ぶりに神輿が大槌川を渡りました。

写真は大槌川に神輿が入る所です。
急坂で担ぎ手の人も大変そうでした。
こっちは楽しませてもらいましたが・・・。

震災前はこの川渡りが夕方にあり、特に私の場合は暗さに弱い感度50のリバーサルフイルムを使っていたので、撮影は大変でした。
今はカメラがデジタルになって、少々の暗さも問題なく撮れるようになりました。
デジタルカメラ様様です。


こんな感じで神輿は川幅のある大槌川を1周です。
昔はもっと回ってくれたような?。
上は安渡橋です。


13年ぶりに大槌川を渡る大槌稲荷神社の神輿です。
望遠レンズ必須の大槌川の川渡りです。


17日は山田八幡宮の神幸祭でした。
震災前に写真を撮りに来たことがありましたが、山田の祭りは本当に久しぶりです。

写真は山田八幡宮の階段を下りる神輿です。
斜めなのでこちらまで力が入ります。


八幡宮境内の広場では神輿がぐるぐると暴れ回ります。
飾りを持った子供たちも、神輿の周りをダッシュしてついて行きます。
夜もありますが、日中では1番の見所です。

動きを止めていますが、スローシャッターでぶらして撮るのも動感が出ていいですよ!。


17日の山田祭りの後、夕方は大槌に出撃し、小鎚神社の神輿が川を渡るのを撮りに行ってきました。
大槌川と違い、小鎚川は川幅が狭く、間近で見られます。
ただこちら側の河川敷はぬかるんでいて湿地状態、長靴は私だけで、多くの人は靴をどろんこ状態にしていました。


見物客を背景に、小鎚川を渡る小鎚神社2基の神輿です。
水深が浅いので、あっちに行ったりこっちに来たりと。
水の中に入る神輿で、しかも神輿が2基、担ぎ手も表情豊かで、写真愛好家にとって絵になる祭りでした。


18日はまた山田へ。
この日は山田大杉神社の神幸祭。
海の町らしく、神輿が海に入ります。
見物客も大興奮。

今は見物客がスマホで写真を撮ることが多く、手を高くあげる姿が画面に変化を与えてくれます。
カメラの前で手を上げられるのは困りますが・・・。


大杉神社の祭りですが、昔は泥が跳ね上がるくらい海の中でぐるぐる回ってくれましたが・・・。
最近は安全上の為か、波打際を行ったり来たりでだいぶ大人しくなりました。
それでも数十年ぶりの大杉神社祭り、楽しませてもらいました。

祭りのもう一つの楽しみは写真仲間などに逢えることですが、大槌ではいつも来ていた大ケ口のMさん、山田では地元のAさんとも逢えずでした。
どちらも高齢であるので致し方なしですが、寂しい限りです。
その代わり、宮古のIさんとは2日間ご一緒させてもらいました。


小川温泉(9/9)

今日の釜石は雨降りです。
時々強い雨が降っています。

9月7日、小川の奥にある日向ダムへトンボ観察に行ってきました。
そのついでに、久しぶりに一番奥にある小川温泉(こがわおんせん)まで行って見ました。

小川温泉は釜石唯一の温泉として、当時は賑わいました。
私が通った明峰幼稚園(のちに明法)の時に遠足で行ったこともあり、写真は津波で流されて今は手元にありませんが、集合写真の背景には多くの温泉客が写っていました。
私が幼稚園の頃、釜石の人口は毎年増え続け、昭和37年10月(1962年)にはピークの9万2千人となっていました。


日向ダムを通り過ぎると、かつての小川温泉の建物があります。
営業はすでに停止していますが、今でもここから3つの建物が続いています。

近くにいたおじちゃん(私もすでにおじちゃんですが)に許可をもらい、周辺の撮影をさせてもらいました。


この2番目の建物の前で幼稚園の遠足の集合写真を撮りました。
その時撮った写真には、2階の窓や玄関にも大勢の人が写っていました。
たしか「白水館」とあったような?。


「白水館」は製鉄所の保養所にもなっていて、全国の新日鐵保養所が載っている冊子もありました。
かつてのバス停も左に見えています。


「小川(こがわ)温泉」、昔の人には懐かしい響きです。


泊った事はありませんが、ここが私が1番記憶にある小川温泉の建物です。


一番奥には比較的新しい3階建ての宿泊施設の建物もあります。
ここは「友楽館」で、確か日向ダム建設時の宿泊施設だったような?。


小川温泉の川を渡った所には、かつての公園らしき所もありました。


小川温泉の横にある滝です。
今は近くまで行けませんので、車道からの撮影です。
滝と言っても配管から流れ落ちる人工滝ですが、みごとな滝です。

昔の幼稚園遠足の時のスナップ写真には滝の前で撮ったものもありました。
その後しばらくの間、この滝がどこなのか分かりませんでしたが、車であちこち行けるようになってようやく分かった滝でした。


夏も終わって(9/4)

今日の釜石は時々日差しもある明るい曇りで、時々小雨も降る不安定な日です。
あの暑かった今年の夏もようやく終わり、今日からは気温も30℃を下回る日が当面続く予報の釜石です。

今日は天気も悪いので、久しぶりに家にいて、この釜石便りをのんびり書いています。
お盆が過ぎた頃から仕事が集中し、撮影と画像処理・納品と、久しぶりに忙しい毎日でした。
パソコンに向かってばかりもいられないので、トンボのいる所に出かけたりしてリフレッシュしています。


お盆明けの8月16日の午後、気晴らしに旧国道の某所へ。
水辺で珍しいトンボを待っていると、上空にクマタカが現れてくれました。
以前より旧国道の上空をクマタカが飛んでいるのを目撃していましたが、幸運にもこの日は私の真上を飛んでくれました。
どういう訳か、お盆の頃にはいいプレゼントをもらっています。


今年の夏は大槌町の仕事もあり、何日か通わせてもらいました。
写真は大槌町の代表的景観「蓬莱島」です。
8/17はあいにく白っぽいもやがあったので、すっきりとした日に再撮影となりました。

大槌町赤浜は、防潮堤を高くせずに高台移転した町です。
土地のかさ上げをし、山を切り開いた土地には新しい住宅が建ちました。
対岸は釜石市箱崎町です。


8/19は大槌町を撮り直ししたのち、依頼があった大船渡市三陸町恋し浜駅へ直行。
大槌は晴れのいい天気でしたが、越喜来の三陸インターを下りる頃には空はすっかり白い空に(写真)。
それでも1時間ほど待つと快晴の青空になり、無事撮影完了できました。

今は合併で大船渡市になりましたが、ここはかつての三陸町小石浜です。
駅名も「恋し浜駅」となり、ホタテの貝殻に願い事を書くホタテ絵馬が人気の駅になりました。
あなた「料理お嫌い?」、綾里と越喜来の笑い話です。


8/21から仕事で大船渡・陸前高田へ。
この日は碁石海岸周辺を撮影後、陸前高田の箱根山展望台へ。
展望台に上がると、何と今まで撮影してきた碁石海岸方向(左)がヤマセで真っ白。
依頼はこの写真よりかなり右側にある広田湾の撮影だったので、何とかセーフでした。
春から夏にかけての三陸沿岸のヤマセ、要注意です。

釜石にも眺めのいい展望台が墓地公園以外にも欲しい所です。


箱根山の次は陸前高田の「奇跡の一本松」へ。
やはりヤマセの影響で雲が多くなり、青空ですが日差しはありませんでした。(写真)
ここでも待つこと約1時間。
ようやく雲も抜けて、陽が当たって白雲が浮く一本松を別な場所から写して何とか完了。

カメラマンにとって、次々回って撮影しなければならない時の翳りによるタイムロスは本当に大変です。


8/29はあるトンボの捜索で、千鳥町の思い出の地「変電所」へ行ってきました。
写真は変電所手前にある電力長屋?で、この道の突き当りには警察アパートがありましたが、今は解体されて更地になっています。
懐かしい通りです。


小さなトンネルをくぐると変電所です。
トンネルの上は旧山田線の線路で、現在は三陸鉄道が走っています。


千鳥町の変電所です。
旧国道の下にあり、右側の山道を登ると鳥ケ澤隧道に出ます。

変電所周辺は私の思い出の地です。
子供の頃、夏休みの朝のラジオ体操が終ってから、近所の門間製麺所の強ちゃんに連れられ、この山道を登りました。
目的は虫捕りで、山道の途中にあるカエデから樹液が出ている事を教えられ、ミヤマクワガタを捕った事がここを知る最初でした。

トンボに興味を持った高校時代も、大町から歩いて行ける変電所周辺の沢でトンボ観察をしました。
変電所周辺には数本の細い沢が流れていて、オニヤンマの産卵写真を初めて撮ったのもここでした。
ミルンヤンマというヤンマを初めて見たのもここの沢で、近所の子供たちを連れて虫捕りによく来たのもいい思い出です。


久しぶりに変電所東側の細い沢をのぞいてみると、運よくオニヤンマの産卵が。
上下に飛んで産卵管を沢の砂利に突き刺して産みます。

ちょっと背景がイマイチでしたが、高校時代に撮ったような写真が撮れて懐かしくなりました。
あの頃はトンボの観察とカメラを始めたばかりで、何もかもが楽しい頃でした。
今は歳も取り、さっぱりですが・・・。


8/31は鵜住居川河口にできた片岸公園へ。
山の上に、夏の白雲がダイナミックに上っていました。

今年は本当に暑くて長い夏でした。
入道雲も毎日見ていたような?。


片岸沼と鵜住居川水門。
かつての河口は写真左側の室浜寄りにありましたが、津波で河口の位置が変わってしまいました。
水辺を見ると、トンボを探したくなります。


池沼性トンボのエース「ギンヤンマ」です。
なかなか止まってくれませんが、交尾が撮れてラッキーでした。


別な池ではオオルリボシヤンマの産卵も。
しっぽの動きで水紋ができ、画面に変化をもたらしてくれます。

子供の頃、このオオルリボシヤンマは図鑑(当時は写真ではなくイラスト)でしか見た事がありませんでした。
山の池が好きなトンボですが、今では平野部の広い池や沼から山の渓流・小さな水たまりまで、水のある所どこでも見かけるようになりました。
釜石ではギンヤンマより多く、普通種になりつつあります。


釜石港南桟橋に石炭貨物船が入港していた9月1日、久しぶりに鳥ケ澤山頂に登り、釜石市街地を撮りました。
朝方は晴れのいい天気でしたが登っている最中に雲が多くなり、ほぼ曇りに。
それでも頂上に着くころには雲も抜け、まずまずの天気に。
それでももやは取れず、霞んだ感じに。

この日は最高気温33.5℃の中、釜石市議会選挙運動の真っ最中。
複数の選挙カーの声が山の上にも届いていました。
昔の釜石の夏を思い出しました。


鳥ケ澤山頂を途中まで下山し、次は大只越の山の上にある三角点まで登り直し。
ちょうど鳥ケ澤隧道の真上を境に、左に行けば鳥ケ澤山頂、右に行けば三角点です。
この日は山道に複数個所クマの新しい痕跡がありましたので、登られる方はご注意を。

冬に一度来て、新緑の頃には来たかったのですが、大型貨物船が入港した晴れの日を待っていたら、秋口になってしまいました。
月日の経つのは早いものです。
今年も残り4か月です。


トップページの写真は、昨年9月13日に撮影した愛の浜の朝焼けです。
 春と秋の年2回、愛の浜の岬と箱崎半島の間から日の出が撮れます。
 特に秋はきれいな秋雲に出会えることも多く、おすすめの季節です。
 市街地からも近いこの箱庭風の景色、釜石自慢の風景です。


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