「釜石便り」 2024年 7月
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●初のチョウトンボ(7/28)
今日の釜石はやや気温が低めの曇りです。
西日本では晴れの猛暑が続いているようですが、釜石はこのところ雨降り続きで、出歩けない日が続いています。
釜石は今月22・23日には気温が35℃を超える日もありましたが、いざ天気が悪くなると晴れの日が待ち遠しくなるこの頃です。
天気のいい日はトンボの撮影を楽しんでいますが、初めてのヤブヤンマのオスに加え、チョウトンボも撮ることができました。
話では釜石にもいるという事を聞いていましたが、ようやく見ることができ、写真にも収めることができて、これからの季節は楽しみ倍増です。
年々温暖化も進み、釜石でも南方系のトンボなどが増えてきたようです。
22日、大槌町での仕事に向かう時、あえて通りがかった片岸町の池の上でチョウトンボがひらひら舞うのを目撃しました。
そして撮影のために上がった大槌城山展望台の木の上にも2匹が飛んでいて、ひらひらと蝶のように何度も飛び回っていました。(写真)
片岸町と大槌町で見たので、今年はチョウトンボの大量発生年なのでは?と期待させてくれました。
23日は晴れのち曇りでしたが、チョウトンボを探しに片岸町の池へ。
チョウトンボは見つけることができませんでしたが、池でギンヤンマの連結産卵を撮りました。
ギンヤンマは子供の頃からのあこがれのトンボですが、ヤンマにしては珍しく、オスメスつながって産卵します。
写真はミズアオイにつかまっての産卵ですが、トンボはすっきりとした彩のいい背景で撮りたいものです。
ギンヤンマ、子供の頃はこの2匹一緒に捕るのが夢のまた夢でした。
25日は曇りでしたがチョウトンボを探しにまた片岸町の池へ。
次第に雨が降り、雷まで鳴る中、何とかチョウトンボを撮影できました。
この日は3匹いましたが、天気のいい日にでも青紫に光り輝くチョウトンボを再撮影したいと思っています。
チョウトンボは自分としては今回が初めての撮影となりましたが、初めて見たのは今から50〜60年前の子供の頃。
当時は大町に住んでいましたが、家の前に見える中番庫の建屋の上をひらひらと上空に飛んでいくチョウトンボでした。
当時池も多かった大渡川が近かったせいで飛んで来たのか、この時が初めてのチョウトンボでした。
その後は花巻の三郎堤周辺の池で見てはいましたが、釜石ではその後見た事はありませんでした。
普通トンボの翅に黒マジックでチョウトンボの様にして放したことも子供の頃の懐かしい思い出です。
ヤブヤンマのヤゴに続き、ギンヤンマのヤゴも飼っていて、26日にようやく羽化しました。
ギンヤンマの羽化を写真に撮ったのも高校生の時以来です。
夜7時過ぎにヤゴがヨシに登り、羽化が始まったのが雨降りだったせいか翌朝の5時過ぎでした。
1時間ごとに起きては寝ての繰り返しでしたが、何とか羽化の各シーンを撮ることができました。
おかげで寝不足気味でしたが、久しぶりに達成感の1日となりました。
成虫の美麗種はいろいろいますが、ギンヤンマの羽化はトンボ一の美しさだと思います。
写真はメスでしたが、腰が水色のオスは不注意にも前日に羽化してしまい、写真に撮ることが出来ませんでした。
●トンボ三昧(7/17)
今日の釜石は曇りのち雨の予報でしたが、日中はぐんぐん晴れて最近では一番の青空が広がりました。
トンボのシーズンに入り、晴れ間があって時間のある時はトンボの撮影に出かけています。
私のトンボ撮影地は、池沼性トンボは鵜住居川周辺にある池、渓流系は日向ダムや鍋倉、そして山の中の池や湿地帯系はとある場所などへと日替わりで通っています。
水田やため池などが多い県内陸部に行けばもっといろいろな種類のトンボがいますが、私の場合はトンボの種類があまり多くない釜石限定なので、少々忍耐力が試されています。
それでもトンボは子供の頃からの趣味でもあり、トンボのおかげでこの道に入ったようなものなので、楽しんで続けられています。
写真はかつて甲子小学校の鍋倉分校があったらしい鍋倉集会所付近です。
甲子町大畑団地を山の方に上って行くと鍋倉峠があり、唐丹側に下ると鍋倉です。
片岸川の源流部となっていて、渓流沿いの草むらでサナエトンボなどを撮らせてもらっています。
この道をまっすぐ進むと楢ノ木平で、五葉山の登山口もあります。
今年初めての鍋倉のオニヤンマです。
早くも沢沿いで縄張り活動中でした。
例年釜石の縄張りは8月に入ってからですが、温暖化のせいでしょうか?、もう沢を何度も行ったり来たりしていました。
よく止まってくれるので、写真に撮りやすい大型トンボです。
とある山の中の池でヤブヤンマの羽化殻を見つけました。
池から陸地方向に約3m、そして高さ約3mの斜面の木にありました。
ここまで登ってきたのかとびっくりします。
ヤブヤンマ、個人的に釜石で一番増えてもらいたいトンボです。
泥のついた大きなヤゴの羽化殻はオニヤンマです。
ご苦労な事に、2〜3mの高さまで上がって羽化することがありますが、この羽化殻は水面からの高さ5mほどの所にありました。
羽化殻を見つけることで、この池にはどんなトンボが来てるかが分かります。
山の中の池ではオオルリボシヤンマも少し出てきました。
縄張りするほどの成熟度ではありませんが、高い木の上を何度も回って止まってくれました。
8月中旬以降、釜石の山の池などはオオルリボシヤンマの天下となります。
日向ダムの草むらでは真っ黄色のキイトトンボもいました。
飛んでいる姿は、まるで黄色の小さな棒がふわふわ浮いているように見えます。
本当にきれいなトンボです。
1年に一度は珍しいトンボの撮影で和山の湿地帯にも行ってます。
写真は橋野高炉少し手前にある和山入口です。
右に曲がって行きます。
和山の小さな湿地帯でオオシオカラのメスがいました。
羽化したてでした。
子供の頃、オオシオカラのメスは「虎トンボ」と言ってました。
他にはルリボシヤンマの羽化も4匹ほどいましたが、草むらの中なので、なかなか写真に撮れませんでした。
このオゼイトトンボを見たくて毎年1度は和山に通っています。
水色のきれいなイトトンボです。
数は少なく、今年はオスが2匹、メス1匹しか確認できませんでした。
いつ無くなるか分からないほどの小さな湿地帯なので、大切に見守りたいと思います。
イトトンボは低い位置にいるのでしゃがんで撮りますが、腹がつっかえる他に、撮影中アブに膝から太ももにかけて何ヵ所か刺されてしまいました。
アブが止まったのは分かっていましたが、トンボが逃げてしまうので払う事ができませんでした。
カメラマンはつらいよです。
この日はタイミングよく、オス・メスのハート型が撮れました。
また来年!。
●初めてのヤブヤンマ(7/9)
今日の釜石は雨が降っています。
雨の中、トンボは電線に止まったままで雨をしのいでいます。
このところ梅雨時らしい曇りや雨の日が多くなってきた釜石です。
今月6日、釜石市内のとある山の中の池で、生まれて初めてヤブヤンマのオスを見ました。
私にとって夢にまで見たあこがれのヤブヤンマ、最美麗種とも言われるトンボが釜石にいてくれたことは感激でした。
去年の8月に釜石市内でヤブヤンマの産卵を目撃してからというもの、寝ても覚めても今年はヤブヤンマのオスを写真に撮る事ばかり考えていました。
今年6月には念願のヤゴを見つけ、家で羽化させた後は時々池にも通い、羽化殻を探して7月上旬までに5匹の羽化殻を見つけていました。
市内にいる事を確信し、あとは眼がコバルトブルーになった成熟したオスが7月下旬頃には池に現れるだろうと楽しみにしていましたが、まさかこんなに早くその日がやってくるとは思いませんでした。
7月6日、どこからともなく静かに池にやってきた1匹のヤブヤンマ、飛び方はヤンマの割にはダイナミックではありませんが、池の周辺をゆっくり飛翔し、木々の茂みにいるメスを丁寧に探していました。
この日は別なオスも数匹現れ、しかもメスの産卵まで2匹あり、山の中の池は早くもヤブヤンマ天国となっていました。
この山の中の池は8月半ば過ぎにはオオルリボシヤンマの天下になる池で、7月はヤンマが現れない空白期間で油断していました。
宝石のようなコバルトブルーの眼に黄緑の縞模様、本当にきれいなヤンマでした。
高校時代に買った図鑑「日本のトンボ」に「青い目をした異人さん」と著者の石田さんが言ってたヤブヤンマです。
ヤブヤンマが釜石にもいたことに感動しましたが、自分にとってもあこがれのヤブヤンマのオスを初めて写真に収めることまでできて久々に感激しました。
今から50年前の高校生の時に、大渡川でマダラヤンマというこちらも美麗種で珍しいトンボを見つけた時以来の新種発見で、個人的には一生の思い出となる出来事になりました。
ヤンマにしては比較的止まってくれるトンボなので、この日は割と楽に何枚も撮らせてもらいました。
最美麗種と言われるコバルトブルーの眼のヤブヤンマとマルタンヤンマ、もしかするとマルタンヤンマの方も釜石にいるかも?です。
探してみたいと思います。
ヤブヤンマのメスはこんな感じで、こちらもまた眼がパステルグリーンブルーできれいです。
6日はメスも2匹産卵に来ていて、すでに最盛期突入でした。
釜石でたくさん卵を産んで下さ〜い!
池に通っているといろいろな虫にも出会います。
ヒグラシの羽化も日中に見ることができたので写真に撮りました。
パステル色や翅の透明さなど、まるでおもちゃのセミみたいでした。
朝や夕方にカナカナカナ、ケケケケケなどの寂しげに鳴くヒグラシですが、遠い昔の夏を思い出します。
●鷲巣山へ(7/3)
今日の釜石は白く晴れていますが、次第に曇りになり、夜には雨となりそうです。
1日には雨が降りましたが、今夜の雨とめぐみの雨となりそうです。
早いもので7月になりました。
今年も半年が過ぎましたが、年々月日の経つのが早く感じられるこの頃です。
昨日2日の釜石は空気も澄んだ快晴だったので、かねてより計画していた尾崎半島・鷲巣山(342m)に登ってきました。
行き方は4/3の釜石便りでも紹介しましたが、今回も尾崎白浜と佐須の間にある峠のスギから登りました。
登り約40分で山頂ですが、20分くらい登った所からはげ山となり、釜石湾や唐丹湾の眺望は見事です。
ここ最近は地味なトンボ三昧だったので、久しぶりに開放感ある釜石の海と空を楽しんで来ました。
峠のスギから登ること約40分で鷲巣山の山頂です。
山頂には「釜石漁業用海岸局尾崎送受信所」の反射板風な受信施設があり、市街地の方からもよく見えます。
ここは登山というよりも、山歩きのような感じで行ける山です。
7/2はほぼ雲一つない澄み切った快晴で、どこまでも青く広い釜石の空が印象的でした。
頂上より釜石市街地方向です。
手前左側には尾崎白浜、中央に釜石市街地、右端には釜石湾港防波堤も見えます。
大規模山林火災の爪痕も残っていますが、360度のみごとな展望です。
釜石は平野が少ないですが、自然豊かで広大な山々と空は果てしなくあります。
これも釜石の宝です。
望遠で少しアップ目な釜石市街地です。
天気は申し分なかったのですが、残念なことにコンテナ船も大型貨物船も入港してませんでした。
ここから撮った釜石市街地、自分にとっても緑になってから初めての写真となりました。
400mmの望遠で大観音と釜石市街地です。
大観音まで約4q、市街地まで約6qあるので、空気が澄んでるとは言え、だいぶゆがみます。
それでも鷹巣山からの眺め、最高でした。
尾崎半島先端部には陸中尾崎灯台も少し見えます。
頂上直下(南側)には小島群もあり、景観のすばらしさはもとより、パステルコバルトブルーの海がきれいでした。
7/2は気温が31.2℃もありましたが、初めての夏の鷹巣山、命の洗濯ができました。
釜石の海・山・空、最高です。
■トップページの写真は夏の根浜海岸です。
かつて釜石の夏と言えば根浜で、ミスコンやフェスティバルなども盛大に行われました。
浜辺にはカラフルなパラソルが立ち並んでいましたが、近年はテントが並ぶようになり、海水浴客もだいぶ少なくなりました。
それでも青い海に青い空、海水浴の子供たちと、今でも夏らしい風景が広がる根浜です。
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