微熱少年
微熱を帯びた目で
遠くを見つめる少年よ
歯がみして涙を流せ
あの夕焼けは君の激しい血のたぎり
破壊を求める衝動をそんなにも抑えて
君のこぶしには力が入りすぎる
ああ 君に明るき未来はあるや
ああ 君に魂の歓喜はあるや
微熱を帯びた目で少女を見つめる少年よ
力なきため息をつけ
足下に落ちる暗い影は君の地獄
暗く激しい君の情動の前に
少女の笑顔はあまりにももろくはかなすぎる
ああ 未だ君に本当の優しさはなく
また 未だ君に本当の強さはない
今まさに君は野を駆ける獣となれ
安らげる夜にも安らげず
くつろぎを忘れ
愛すべき人の声は君の心に届かない
君は怒りを抱いて群れを捨て
ありきたりの日常に背を向ける
くすぶりつづける暴力的な欲求
道ならぬ快楽を求めて
君は禁断の森へ入る
全ての人為的意図的な創造物を否定し
息を荒げて暗き山々を駆けめぐり
切り立つ断崖の上に眠る
ああ それは君が生きる命の証し
微熱に冒された少年の証しなのだ